サイボウズは2月24日、オンラインで決算発表と事業説明会を開いた。説明会には同社 代表取締役社長の青野慶久氏が説明に立った。
昨年のクラウド売上構成比率は80%超
同社ではグループウェアとして「サイボウズ Office」と「Garoon」、業務システム構築プラットフォームの「kintone」、メール共有システムの「Mailwise」をはじめとした各種クラウドサービスを提供している。
エコシステム戦略は外部サービス連携やプラグインで製品機能を拡張することであり、例えばkintoneはデータベース、プロセス管理、コミュニケーションなどの基本機能をベースに周囲のパートナー、ユーザーとともにビジネスを拡大するとともにユーザーニーズに応えていくことにある。
2021年12月期の連結売上高は前期比17.9%増の184億8900万円、営業利益が同36.5%減の14億4100万円、経常利益が同35.3%減の14億5800万円、当期純利益が同61.6%減の5億5100万円となり、クラウド関連売上は前年比26%増となり、連結売上高のうちクラウド売上構成比率は81%を占めている。
青野氏は昨年の業績に関して「連結売上高は前期比で拡大したが、広告宣伝費に積極投資を行ったため営業利益が減少した。これはクラウド事業強化に伴い、製品の認知度向上を目的に積極投資し、長期スパン、既存ユーザー・パートナー、採用活動それぞれへの効果を期待している」と振り返った。
2021年におけるクラウド売上のうちパートナー販売は60%に到達し、パートナー社数は360社、連携サービス数は300以上にのぼる。
従来はパッケージ製品を含めていたが、コンサルティングやプロダクト、ディストリビューターをはじめとしたパトナープログラムを全面的にクラウドに特化したプログラムにリニューアルした。2021年12月時点でkintoneは2万3000社、サイボウズ Officeは7万2000社、Garoonは6400社、Maikwiseは1万1800社が導入している。
2022年の取り組み
2022年12月期の業績予想は連結売上高が2021年12月期比17.5%増の217億3000万円、営業利益が同%減の76.1%減の3億4500万円、経常利益が同72.7%減の4億100万円を見込んでおり、営業利益、経常利益は減少の見通しとなっている。
国内拠点と人員採用を拡大しており、2021年1月に沖縄カスタマーセンターの移転・増床、同2月には横浜カスタマーセンターの開設、同5月に札幌オフィス開設、同5月に福岡オフィスの移転・増床、2022年1月には広島オフィスの開設、そして同3月には大宮オフィスの開設を予定し、社員数は700人超となっている。
一方、グローバル展開にも注力しており、中華圏において前年比7.2%、アジアは同25.3%増、米国が同30.8%増と成長。特に米国市場にフォーカスし、業務アプリケーション開発基盤の市場が盛況となっていることから、サイボウズの米国子会社のKintoneではプロダクトアウトに頼らず、マーケットインの思考でプレセールス段階からユーザーの課題に寄り添い、継続的なサービスを提供しているという。
アジア市場では3月にマレーシア・クアラルンプールに営業拠点の開設を予定し、駐在員事務所があるタイに加え、英語圏から活動を強化していく。
また、積極的な投資の継続により、クラウドビジネスの拡大も図る。引き続き、広告プロモーションなど認知施策への投資、国内クラウドサービス用サーバ機材の増設、人員採用・オフィス拡充への投資を進めていく考えだ。
さらに、同社の既存クラウド基盤「Forest」はスケールや運用コストなどの課題を抱えているため、次世代クラウド基盤として「Neco」に刷新。これにより、大容量、伸縮自在、対応力、無停止メンテナンス、価格競争力を実現し、多くのユーザー、データでの安定した運用・サービス開発力を向上させていく。
青野氏は「当社は従来からDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しているが、今後はCX(コーポレートトランスフォメーション)も支援していきたい。例えば、経営判断に対する全社員からの助言プロセスの導入や社内公募による取締役候補者の選出、改正会社法に伴う社外取締役の設置などだ。CXをもってしてDXを成功させる、この両輪を回せるのは当社しかいないと考えている」と力を込めていた。