香川大学と京都大学(京大)は2月22日、アトピー性皮膚炎の体表で大量に産生されるペプチド「C10orf99」が、皮膚のバリア成分を低下させること、さらに炎症を起こしやすくすることを発見したと発表した。
同成果は、香川大 医学部皮膚科学の大日輝記教授、京大 医学研究科の椛島健治教授、同・仲野祐里研究員を中心に、理化学研究所や海外の研究者らも参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、「Frontiers in Immunology」に掲載された。
アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの慢性の皮膚炎では、皮膚表面の「表皮」と、皮膚の免疫細胞との間に悪循環が起こって、炎症が慢性化していると考えられている。
そうした中、研究チームは今回、これらの皮膚炎で共通して、アミノ酸が複数結合したペプチドの1種である「C10orf99」が、表皮の体表近くで大量に産生されていることを発見。さらに、C10orf99の分析を行った結果、皮膚のバリア成分の産生を減らすこと、また、C10orf99自体が炎症を起こす作用を持つことも確認したという。
研究チームの1人である香川大の大日教授は、C10orf99の働きを抑制することで、新しい治療やスキンケアにつながる可能性があるとしている。