電通は2月24日、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2021年 日本の広告費」を発表した。2021年(1月~12月)日本の総広告費は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響が下半期にかけて緩和したことに加え、社会のデジタル化が進む中、好調なインターネット広告費の成長に支えられ、通年で二桁増の6兆7,998億円(前年比110.4%)に達した。

  • 日本の総広告費の推移 資料:電通

2021年の上半期は、感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置などに伴い、前年同様に新型コロナの影響を大きく受けた。しかし下半期には、コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、テレビメディア広告費が回復し、インターネット広告費の成長が加速したことが広告市場の成長へつながったという。

「日本の広告費」は、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算、それぞれの広告費には制作費も含まれている)、インターネット広告費(媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、制作費の合算)、プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM<ダイレクト・メール>、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像ほかの合算)に大きく3分類される。

マスコミ四媒体広告費は、前年比108.9%の2兆4,538億円となっており、コロナ禍からの市況の回復により、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」のすべてが増加した。

インターネット広告費は、1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持しており、2021年は2兆7,052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回った。

映像系を中心に動画広告需要の高まりが顕著で、デジタルプロモーションの活用拡大も市場成長に寄与したという。加えてコロナ禍で、その関連情報などをより幅広い層へ、より多くの人へ、過不足なく情報を伝える社会的需要が高まったことから、デジタルだけでなく、他の媒体活用も進んだとのことだ。

プロモーションメディア広告費は、前年比97.9%の1兆6,408億円だった。東京2020をはじめ、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンも徐々に再開されたが、新型コロナの影響は大きく、通年では減少した。

  • 媒体別広告費(2019年~2021年) 資料:電通