科学技術振興機構(JST)は、2021年11月3日に公表および表彰した「第3回輝く女性研究者賞」の受賞記念講演会を、2022年3月11日の13時よりWebで開催する。
輝く女性研究者賞は、日本・世界各国で活躍する優れた日本人女性研究者を表彰し、女性研究者が活躍するダイバーシティを促進する目的で、2019年度から始まった表彰制度である。
第3回目となる2021年度は、2021年11月3日に受賞者3人と受賞機関が、日本科学未来館(東京都台東区)で開催された発表会「サイエンスアゴラ」の場の中で公表され、表彰された。同授賞式は新型コロナウイルス感染症への対策のため、限定的に行われたため、女性研究者活躍の現状を広く伝え、一層の活躍推進の環境をつくる目的で、今回改めてWebで講演会を開催する運びとなったという。
3月11日開催の講演会では、同賞の選考委員長を務めたテキサス大学オースティン校の鳥居啓子冠教授(ハワードヒューズ医学研究所正研究員)が、同賞の経緯・歩みを解説する。 続いて、第3回輝く女性研究者賞の受賞者の3名が自身の研究や取り組みについて講演を行う。
輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)の受賞者、佐々田槙子氏は現在、東京大学大学院 数理科学研究科の准教授。代数学や幾何学理論を用いて、原子や分子などで構成される系が従うミクロ法則から温度や密度など系のマクロな振る舞いを説明する、新しい理論の構築を行っている。同時に、Webサイト「数理女子」の開設や研究内容の講演会を伝えるアウトリーチ活動などを実施しており、これらの研究や取り組みが今回の受賞につながったようだ。
また、輝く女性研究者賞(科学技術振興機構理事長賞)の受賞者、飯間麻美氏(京都大学医学部付属病院の先端医療研究開発機構・放射線診断科 助教)は、造影剤を使用しない非侵襲的な拡散強調MRI(Magnetic Resonance Imaging)を利用して、身体の負担が少ないガンの画像診断法を開発。研究以外の社会貢献においても、関連分野の国際ワーキンググループ創設など世界へ向け発信するとともに、国内外の研究者の交流活動の促進や後進の育成にも力を注いでいる。
同じく、科学技術振興機構理事長賞を受賞した神谷真子氏(東京大学大学院医学系研究科 准教授)は、独自の分子設計法による蛍光プローブとラマンプローブの開発を行っており、研究の独創性が評価された。研究以外の社会貢献においても、後進の育成に取り組むとともに、一般に向けて科学の面白さを伝える活動などにも力を入れている。
講演の後には、JSTの濵口道成 理事長、同渡辺美代子 副理事を交えた受賞者とのパネル討論も予定されている。
同講演会は、JSTのダイバーシティ推進室のWebページにて事前に申し込みが必要だ。