Googleの日本法人は2月22日、公式ブログで、APAC(アジア太平洋)地域におけるスタートアップ企業のトレンドについて伝えた。
APAC地域におけるスタートアップはこれまでにない盛り上がりを見せており、2021年に同地域に投入されたベンチャー資金は1650億ドルにも達するとの試算があるようだ。Googleもデジタル経済の成長を支援するためにさまざまな規模のスタートアップを実施している。
そこで同社は、「スタートアップがどのように世界規模の成長を目指し、テクノロジーを前進させ、自らの可能性を実現するためにどのような支援を必要としているかなど、APAC全体のスタートアップ創業者とのパートナーシップから得られたインサイトを紹介」するとして、同社が考えるスタートアップの動向をブログに掲載した。
2021年4月時点で、APACには約200社のユニコーン企業が存在しており、これは米国の290社に次いで世界でも2番目に多い数だ。マレーシア発で自動車配車アプリを展開するGrabをはじめ、日本では東北大学発のヘルスケアサービス企業であるCogSmartなど、アジアの優れたスタートアップが世界に影響を与えるようになっている。
近年は新型コロナウイルス感染症の影響により、スタートアップとの親和性が高い新しいデジタルサービスに対する需要が高まっている。パンデミックが始まって以来、東南アジアでは6000万人が「デジタル消費者」となり、少なくとも1つ以上のオンラインサービスを利用しているとする試算もその一例だろう。
こうした背景がある中で同社は、「アジアのスタートアップはテクノロジーの新しい可能性を模索している」とブログに記している。そのうちの多くが現在存在する社会的、財政的、環境的課題の解決に貢献したいと考えており、多くの場合、比較的まだテクノロジーの進歩が及んでいない分野に注力しているとのことだ。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)分野に着目すると、APACの創業者は多くのアプリケーションを開発している。インドネシアの Kata.ai は会話型AIをリードしており、インドの BrainSightAI は研究者や臨床医が人間の脳を理解するために有用なツールを提供している。
また、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)はもう一つの成長分野だという。東南アジアのDeFiスタートアップでは、2021年に10憶ドルのエクイティ型ファンディングを調達した例もあるようだ。フィンテックやEコマースも活況を見せており、より包括的な金融とEコマース体験の向上を目指すスタートアップが多い。
気候変動の影響が大きいアジア地域では、持続可能性をテーマにする創業者も増えているとのことだ。インドネシア全土で2000の廃棄物管理サイトを管理するインドネシアのDuitinや、自動車使用の減少による大気汚染改善に役立つ共有輸送プラットフォームを手掛ける台湾のLockistsなどが、これらの分野で台頭している。