日立製作所(日立)は2月22日、小売DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する無人店舗の実証を同社の事業所内で開始すると発表した。同実証では、生体認証による本人確認や自動決済、センサーを活用した購買行動ログの取得、デジタルサイネージなど、日立グループのさまざまなテクノロジーを組み合わせる。同社の小型無人店舗のサービスコンセプト「CO-URIBA(コウリバ)」のもと、さまざまな事業者との実証を重ねる。

  • 「CO-URIBA」イメージ写真

「CO-URIBA」の利用者は、生体情報とクレジットカード情報をあらかじめ登録しておくことで、利用時に生体情報で本人認証を行い、商品を手に取り店舗エリアから離れるだけで自動で精算できる。商品棚と天井に設置したセンサーにより、ガムなどの小型・軽量の商品も認識でき、一度手に取った商品を棚に戻した場合でもキャンセルと判別することが可能。生体認証により、スマートフォンやクレジットカード、現金などを持たずに手ぶらで買い物ができる。

さらに、利用者の好みを収集して商品開発などのマーケティングに活用できるほか、購買状況をタイムリーに把握し、在庫管理の最適化や売れ筋商品の補充が可能だ。また、商品棚の重量センサーと商品棚上部の3Dセンサーから、利用者の行動履歴を収集し、購買データとともに複合的な分析をすることができる。

たとえば、購入者の属性や購入商品、時間帯などの情報に加え、商品前でしばらく足を止めた、一度手に取ったものの購入に至らなかったなどの行動履歴を取得することで、消費行動を詳細に可視化し、商品開発や販売戦略立案などマーケティングに活用することなどが可能だ。

今後、入場時の認証情報をもとにしたパーソナライズ広告、商品の人気投票を調査できるアンケート機能、日立の「IoT決済プラットフォームサービス」を活用したダイナミックプライシング(需要に応じた価格変動)機能などを実装していく。企業のオフィスやテナントなど空きスペースの有効活用を検討する事業者に対して、小売のDXを加速する新たな売り場づくり、買い物体験を実現していくとのことだ。