化学素材メーカーのADEKAは、台湾の連結子会社である台湾艾迪科精密化学において先端ロジック半導体配線工程向けALD(Atomic Layer Deposition)材料の新プラント建設を決定したと2月17日に発表した。同プラントは、韓国の子会社ADEKA KOREAに次ぐ先端半導体材料の海外生産拠点となる。
新工場の投資額は25億円で、延床面積3068m2。着工は2022年8月で、営業運転は2024年4月より開始する予定としている。
ADEKAでは、台湾へ進出する背景として、「半導体市場は5G通信の拡大やAI、メタバースをはじめとした高度ICT社会の実現に向けて、2030年には市場規模1兆ドルに成長する見込みであり、半導体のさらなる技術革新が求められている。中でも、制御や演算処理を行うロジック半導体は微細化のスピードが速く、半導体フォトリソグラフィ工程でEUVプロセスが本格導入される2023年前後には製造プロセスや材料の技術が革新される見通しである。使用される材料も高純度化し、品質管理基準が強化された新素材に置き換わることが予想される」と説明しており、先端ロジック半導体の技術革新をビジネスチャンスと捉え、研究開発および生産が活発な台湾で新プラントを建設することにしたという。
なお、同社は同プラント建設により、台湾における先端ロジック半導体ビジネスへ本格参入し、半導体分野の事業拡大を図るとしている。TSMCは日本でも半導体ファブの建設を決めているが、成熟プロセスにとどまる見通しで、7nm以降の最先端プロセスはあくまでも台湾内にとどめる予定としているため、ADEKAも「EUV露光プロセスが適用される最先端ロジック半導体の配線工程(ALD成膜)において使用される微細化になくてはならない材料」を台湾で生産することにしたとみられる。
また同社は今後、半導体の集積密度を高める3次元実装技術向け材料への進出などにより、先端半導体向け材料のラインナップ拡大を目指すとしている。