東芝と東芝デジタルソリューションズは2月18日、東芝アメリカ社、JPモルガン・チェース、シエナの3社が、米国にて初めて金融アプリケーションの実行基盤で実証実験を行い、量子暗号通信(QKD)ネットワークの実用性を実証したことを発表した。

暗号通信プロトコルであるQKDは、2者がメッセージの暗号化と復号化に使用でき、2者だけが知りえる共有ランダムキーを生成できる。 量子コンピューティングの攻撃に耐性があることが数学的に証明されている唯一のソリューションという。

同実証実験で3社は、金融分野におけるブロックチェーンアプリケーションで送受される情報を保護するためにQKDネットワークを使用し、大都市において、最大100キロメートルの距離で、実用レベルの800Gbpsの伝送速度で暗号通信が可能であることを確認したという。

同実証実験は、東芝デジタルソリューションズの量子チャネルとデータ通信チャネルを同一光ファイバーで共有運用できる多重QKDシステム、シエナの800Gbps光レイヤ暗号装置と6500フォトニックソリューション上で実行されるオープンAPIを備えたWaveserver5プラットフォームを用い、JPモルガン・チェースの研究施設において実施された。

具体的には、70キロメートルの光ファイバー上でQKDにより保護された実効データレート800Gbpsの光データ通信に成功。また、光ファイバーを最大100キロメートルの距離まで延ばした実験を行い、正常に実行できることも確認したという。さらに、QKDネットワークインフラで測定したQKD鍵生成レートでは、高度暗号化標準(AES)の256ビット暗号鍵を毎秒1回変更する場合で258チャネル分を保護できることを確認したとのことだ。