電子製品受託生産大手でシャープの親会社としても知られる台湾の鴻海科技集団(Foxconn Technology Group)は、事業の多角化の一環として進める半導体事業の拡大に向け、2月14日付で、インドを代表する多国籍企業Vedanta Groupと提携し、インドにおける半導体製造に向けた覚書を締結したことを明らかにした。
それによると、1億1870万ドルを投じて合弁会社を設立し、 Vedantaが合弁会社の株式の過半数を保有し、Foxconnが少数株主となり、Vedanta会長のアニル・アガルワル氏(英ロンドン在住)が合弁会社の会長に就任するという。
このインドでの半導体製造会社は、インドにおける半導体製造のためのエコシステムを構築したいというインドのナレンドラ・モディ首相のビジョンを支援するためのものであり、インド政府の新たな電子機器産業振興に関する方針の発表後、電子機器製造分野での最初の合弁事業となるという。
両社は、半導体をインド国内で製造することにより、インドでの電子機器の国内製造が促進されることになるとしている。すでに、半導体工場の建設場所を最終決定することを目的に、いくつかの州政府との話し合いが進行中であるが、最終決定には至っていないという。
また、半導体製造の技術とノウハウ入手のため、海外の複数の半導体企業と交渉中だともしており、28nmプロセス以上のレガシープロセスを用いて車載および産業用半導体の生産を目指す予定としている。設備投資額や生産能力などについてはこれから検討するようである。いままで、インドでの半導体製造は何度も計画されてきたが成功しなかったのは、半導体製造に必要なレベルのインフラが整備されていなかったためであるが、最近は電力を含め整備が進んできており、今度こそ成功させたいと担当者は抱負を語っている。
Vedanta Groupは、金属、鉱業、石油・ガス、電力、通信、ガラスなど幅広い商材を扱うグローバルな企業グループで、子会社のAvanstrateとSterliteTechnologiesを通じて、エレクトロニクスおよびテクノロジービジネスに存在感を示している。このうちAvanstrateは、日本に本社を置くFPD用ガラス基板の4大企業の1社で、韓国と台湾に工場がある。同社は、もともとは1991年に日本板硝子とHOYAの合弁会社としてNHテクノグラスとして設立されたが、日本のデイスプレイ産業衰退で経営不振となり、2008年に米投資ファンドへ売却され、その後、2017年にVedantaに株式が譲渡されている。Vedantaでは、インドに液晶デイスプレイパネル用製造工場の建設も検討中だという。