三菱重工業は、水素ガスタービンの早期商用化に向け、高砂製作所(兵庫県高砂市)に水素製造から発電までの技術を一貫して検証できる「高砂水素パーク」を設置することを2月14日に発表した。
高砂水素パークは、同製作所構内の実証設備複合サイクル発電所に隣接して整備される予定で、2023年度の稼働開始に向け、水素製造・貯蔵およびガスタービンでの水素燃焼技術の試験・実証運転に着手できるよう準備を進めているという。水素製造設備では、水電解装置の採用に加え、メタンを水素と固体炭素に熱分解することによるターコイズ水素の製造など、次世代水素製造技術の試験・実証も順次行う予定だとしている。
高砂製作所では、開発から実証・検証までの⼀貫体制を構築しており、水素ガスタービンのキーコンポーネントである燃焼器は、開発から、設計、製造工場での実機の製作、実証設備において実機レベルで検証するまでの体制をすでに構築している。
同社は、世界に先駆けてガスタービン入口温度1,650℃の高温化を達成した次世代高効率大型ガスタービンJAC(J-series Air-Cooled)形の長期実証に向け、地域の電力網に接続された状態で実際の発電所と同じ運用を行いながら、新開発技術の長期的な信頼性検証を実施している。これは、出力56万6,000kWの最新鋭ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備として、2020年7月1日に長期実証運転を開始したものだ。
大型ガスタービンについては2025年の商用化に向け、同製作所構内の実証設備複合サイクル発電所でJAC形を用いて水素30%混焼発電を検証し、中小型ガスタービンでの水素100%専焼も、H-25形ガスタービンでの水素燃焼の実証を行う予定だとしている。