TSMCは2月10日、2024年末に稼働開始予定のソニーとの合弁会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の熊本工場に勤務するエンジニアの中途採用ならびに大学新卒の募集を開始した。
工場が稼働を開始する2024年末までは、台湾のTSMC工場で長期研修が行われる模様である。熊本工場での操業開始時には1500名の従業員が必要になると見られており、人材確保が難しいとの予想から、早めの募集開始としたようである。
TSMCが掲載した募集要項を読むと、外資企業らしく修士や博士修了者が望ましいと記載されている。また、要求資格に日本語N2以上とあるのは、日本語能力試験で上から2番目の難度で、日本語でディスカッションできるレベルが求められており、それをクリアしてさえいれば、国籍を問わない募集となっている。
一方の日本での新卒者募集要項には、2023年4月入社の場合、基本給は、学部卒28万円、修士修了32万円、博士終了36万円と明記されているほか、賞与4か月分+会社および個人業績に応じた一時金が加わることが記載されている。
同じ九州地区における半導体企業であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本テクノロジーセンター)の新卒基本給は、学部卒で22万円強(2020年度実績)とされており、JASMの給与水準が高く設定されていることから、業界内からは九州の半導体関連企業からの転職者が多数出る可能性があるが、それをひきとめるために各社ともに給与水準を引き上げるのではないかとの希望的な見方も出ている模様である。
なお、TSMCの熊本工場で募集されている職種は、以下の通り。
- プロセスエンジニア:統計的プロセス制御手法を適用して、堅牢な製造プロセスを確立および維持
- プロセス・インテグレーション・エンジニア:(他社ではデバイスエンジニアと呼ばれる場合がある)プロセス設計の弱点や製造ツールの問題を特定し、プロセスの安定性を維持し、顧客に技術的なソリューションを提供
- 生産性向上エンジニア:潜在的な歩留まりを制限する欠陥の原因を特定し、プログラムおよび関連モジュールの積極的な欠陥削減ロードマップを定義
- 設備装置エンジニア:クリーンルーム環境や半導体装置の取り扱いを行い、社内外のリソースを活用し、積極的に継続的改善プロジェクトを推進
- ESHエンジニア:環境・安全・衛生マネジメントシステムを確立し、施設部門と緊密に連携して、工場が環境への影響を継続的に低減
- インテリジェント・マニュファクチャリング・エンジニア:効果的なスケジューリングシステムを作成または維持することで、工場の生産能力目標を達成し、工場機能の最大化を確立