韓国での半導体製造装置・材料展示会である「SEMICON KOREA 2022」が2月9~11日にかけてソウルの国際展示会場COEXで開催されている。
展示会に参加している企業は483社で展示ブース数は1982とほぼ例年並みで、展示場の4つの会場を使って展示が行われている。韓国の大手半導体メーカーを主要顧客に抱える日本の装置・材料サプライヤも多数参加しているが、渡航制限で人的交流が難しいため、韓国現地法人(子会社や合弁会社、代理店)による展示が目立つという。また、展示会場への入場に際しては、ワクチン接種済み証明書かPCR陰性証明書などの提示と検温を行った上で入場許可のブレスレットの装着が義務付けられている。
展示はリアルながら、基調講演やSEMIテクノロジーシンポジウム(STS)、マーケットセミナーなどといった講演はすべてバーチャルオンライン(ライブおよびオンデマンド)で行われており、2021年12月に開催されたSEMICON Japan同様、リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド形式で開催されている。
講演会の構成は、基調講演、技術的内容のSTS、経営的内容のマーケット動向フォーラム、それに特定テーマとしてスマート製造・持続可能な製造、設計自動化、人工知能、テスト、測定・検査などのフォーラムで構成されている。
初日の2月9日午前は、以下の2件の基調講演がオンラインライブで行われた。
- Samsung Electronics 半導体研究開発センタの研究ヘッドであるHyoung-Sub Kim氏による「Driving Silicon Innovations in a Data-driven Era(データドリブン時代のシリコン・イノべーションを推進する)」
- ASMLの社長兼CEOのPeter Wennink氏による「Innovation through Collaboration(協業を通したイノベーション)」
設計・プロセス・装置・材料の協業が必要に
SamsungのKim氏は基調講演にて、「膨大なデータに基づいてビジネスの意識決定や課題解決などを行う次世代型データドリブン時代には、データ量が天文学的な増え方をし、そのデータ処理・蓄積のための半導体消費量が急増し、半導体市場は2030年には1兆ドルを超える」と述べたほか、今後、需要拡大が予想されるDRAM、NAND、ロジック、イメージセンサについて、さまざまな新しいプロセス・デバイス技術を紹介し、最近のアーキテクチャや材料のイノべーションにも言及した。
データドリブン時代には、半導体業界の設計、プロセス、装置、材料関係者が一体となって協業して、新たな超微細プロセスを開発しなければなければならないとする。同氏は、そのような分野として、以下のような例を挙げ、半導体業界関係者の協力を求めた。
- 超微細パターニング
- 堆積とエッチのハイブリッド(クラスター)技術
- 高選択比堆積とエッチ
- 選択的ボトムアップ成長(堆積)
- 超High-K層間絶縁膜材料開発
- CMPプロセスでスクラッチ・ディッシングフリーのスラリー開発
- コンタミネーションおよびパーティクルフリーウェハ洗浄
- 低抵抗材料開発
- 厚膜フォトレジスト材料開発
- 3D構造の測定と検査
- 低温プロセス開発
ASMLが韓国に新拠点を構築、従業員2000人に
もう1つの基調講演では、ASMLのPeter Wennink氏が、同社のi線から高NA EUVに至るリソグラフィ装置や技術の説明をした後、韓国における顧客であるSamsung(ロジックおよびDRAM)およびSK Hynix(DRAM)との協業について紹介した。
「ASMLは1996年に韓国に進出して以来、韓国半導体業界の発展とともに歩んできた。現在、華城(ファソン、Samsung量産工場所在地)に本拠を置き、平沢(ピョンテク、Samsungの最新の量産工場所在地)、利川(イチョン、SK Hynix本社工場所在地)、清州(チョンジュ、SK Hynix NANDフラッシュメモリ量産工場所在地)にサービスセンターを設置している。ASML Koreaの従業員数は1400名(2021年第3四半期時点)で、半数以上が20~30歳代の若い社員であり、うち15%が女性である」と現状について説明した。
また、将来については、2020年代中に韓国での従業員数を2000名に増やす計画だとしている。すでに、人員増への対応として、京畿道庁および華城市と高層ビルを華城市内に建設する覚書を2021年の秋に結んでおり、韓国現地法人の管理センタ、露光装置トレーニングセンタ、ローカル修理センタ、装置デモセンタなどを収容するとしている。ちなみに、ASML Taiwanには、TSMC支援のために3000人を超える従業員が在籍している。