IDC Japanは2月9日、最新の国内情報セキュリティソフトウェア市場予測を発表した。2021年の同市場は前年比成長率14.8%の3,585億3,800万円になるという。
2021年上半期の国内情報セキュリティソフトウェア市場は、COVID-19の感染拡大によってビジネスバイヤー/消費者のデジタルシフトが進み、従業員が利用するクライアントデバイスへのマルウェア感染や企業システムへのセキュリティ侵害などへのリスクに対する警戒感が強まった。また、エンドポイントセキュリティやID管理の厳格化によるアクセスコントロールを実現するアイデンティティ/デジタルトラストへのニーズが急速に高まっているという。
この結果、IDCでは2021年の同市場は前年比成長率14.8%の3,585億3,800万円になると予測。特にアイデンティティ/デジタルトラストソフトウェア市場は前年比成長率19.6%、エンドポイントセキュリティソフトウェアは同15.9%と、2020年の前年比成長率を上回る成長を遂げると予測している。
一方、COVID-19の影響で企業は自宅/サテライトオフィス/リモートサイトからの業務遂行を進め、ID確認に2要素認証などを利用して、セキュリティの確保を図ってきた。しかし、VPN機器の脆弱性を狙った攻撃によってVPNを突破される事例や、2要素認証までも突破される事例が発生。さらに複数のクラウド環境に対するセキュリティ対策が求められ、リスク軽減対策としてSaaS型情報セキュリティソフトウェアの需要も高まっている。IDCでは同市場は2021年には前年比成長率21.4%、2,236億8,800万円になると予測している。
IDCでは、企業のDX進行によるデジタルシフトやCOVID-19後のハイブリッドワークの進行など、国内情報セキュリティソフトウェア市場の拡大は今後も継続すると予測しており、2020年~2025年のCAGR(年間平均成長率)は10.5%となり、2025年の市場規模は5,138億6,000万円になると予測した。またSaaS型情報セキュリティソフトウェア市場はCAGR 14.4%の高い成長率を予測している。
IDC Japanグループディレクターの眞鍋敬氏は、次のように述べている。「企業はステークホルダーからデータドリブンな経営を求められていが、反面、データセキュリティ、データガバナンスの確保は、企業の社会的責任となっており、二律背反の状況が起こる。ITサプライヤーはユーザー企業に対して、アプリケーション保護、機械学習を応用したリスクアセスメント/セキュリティ侵害検知の迅速化を訴求することが重要なトレンドとなる」