米アカマイテクノロジーズ(アカマイ)は2月9日(現地時間)、著作権侵害について解説した最新の調査レポートを発表した。さまざまな業界でオンライン著作権侵害がどのように広がり、経済的にどのような悪影響を及ぼしているのかを明らかにした。
全米商工会議所のグローバルイノベーション政策センターによると、著作権侵害の損失額は米国経済だけでも年間約292億ドル(約3兆3,690億840万円)と算出されている。
アカマイは世界的な海賊版の需要を知るため、2021年1月から9月の期間、ブラウザーやモバイルアプリケーションを介して映画やテレビ番組のコンテンツに直接アクセスできるWebサイトへの訪問者数とコンテンツのダウンロード数を調査した。
その結果、著作権侵害にあたるWebサイトへのアクセス数が合計で1,320億件あり、違法なストリーミングとダウンロードが37億件に達することが判明した。また、海賊版サイトを訪問した消費者の61.5%が直接アクセスし、そのうち28.6%がそのサイトを積極的に検索していたことが分かった。
著作権侵害に遭った上位の業界は、テレビ(アクセス数の合計670億件)、出版(アクセス数の合計300億件)、映画(アクセス数の合計145億件)、音楽(アクセス数の合計108 億件)、ビデオゲームや最新のPCソフトウェアを含むソフトウェア(アクセス数の合計89億件)などが挙げられた。
また、著作権侵害にあたるWebサイトへのアクセス数の昨年の上位5カ国は、米国(135億件)、ロシア(72億件)、インド(65億件)、中国(59億件)、ブラジル(45億件)の順で多かった。日本は14番目で29億件。
アカマイ セキュリティリサーチャーであるスティーブ・リーガン氏は「著作権侵害は現在進行中の戦いであり、オンライン上のさまざまな著作権侵害に対処できる特効薬はない。コンテンツ開発者が保護を強化すれば、犯罪者は手法を変えて、保護されたコンテンツにアクセスしてくる」と現状を説明。
また同氏は「著作権侵害の影響は、映画やその他のコンテンツの盗難だけではない。実際に損害が発生しているのは舞台裏。私たちが楽しんでいる映画や、番組、書籍、ソフトウェアの制作を支える人たちの生活が脅かされている」と警告している。