Intelのファウンドリ事業部門「Intel Foundry Service(IFS)」は2月7日(米国時間)、オープンソースソフトウェア開発プラットフォーム支援を目的に、RISC-V命令セットアーキテクチャと拡張機能をサポートし標準化を行うグローバルな非営利組織RISC-V Internationalへの参加を発表した。

顧客からの強い要望があるRISC-Vについて、Andes Technology、Esperanto Technologies、SiFive、Ventana MicroSystemsなどのRISC-Vエコシステムの主要パートナーと協力し、さまざまな市場セグメントに最適化した検証済みRISC-V IPコアを提供していくことにしたという。

これら主要プロバイダーと提携することで、RISC-VがIFSのシリコン上で最適に動作するようにし、

  • IFSテクノロジーで製造されたパートナー製品
  • 差別化されたIPとしてライセンスされたRISC-Vコア
  • 高度なパッケージングと高速チップ間インタフェースを可能にするRISC-Vに基づくチップレットビルディングブロック

という3種類のRISC-V製品が利用可能になるとしている。

Open Chiplet Platformをクラウドサービスプロバイダと開発

また、複数のベンダーが持つ設計IPやプロセス技術をとりまとめるオープンなエコシステムとして、「Open Chiplet Platform」をクラウドサービスプロバイダと開発するほか、ダイツーダイインターコネクトのオープンスタンダードについても、業界大手企業と提携して開発を進めているという。

IFSは、Open Chiplet Platformでモジュラー製品を実現し、x86、Arm、RISC-Vにまたがる複数の命令セットアーキテクチャ(ISA)を活用する設計アプローチをサポートしていくことで、この3つのISA(x86、Arm、RISC-V)すべてに最適化されたIPを提供できる唯一のファウンドリになるとしている。

RISC-Vの共同開発者であるDavid Patterson氏(University of California, Berkeley名誉教授, RISC-V International副理事長)は、「50年前にマイクロプロセッサ分野の先駆けとなったIntelがRISC-V Internationalの会員になったことをうれしく思っている」と述べ、Intelの加入によりRISC-Vの普及に拍車がかかることへの期待を示した。

IFSエコシステム構築に向け10億ドルのファンドを創設

なおIntelはIFSのエコシステム構築のため、子会社の投資会社であるIntel Capitalとともに10億ドルのファンドを創設したことも明らかにしている。このファンドは、

  • 破壊的なスタートアップへの株式投資
  • パートナーのスケールアップを加速するための戦略的投資
  • IFSの顧客をサポートする破壊的な機能を開発するためのエコシステムへの投資

の3つの手段を用いてエコシステム強化を目指すという。

このファンドは、破壊的技術を生み出す初期段階のスタートアップや既存の企業を支援し、知的財産(IP)、ソフトウェアツール、革新的なチップアーキテクチャ、高度なパッケージングテクノロジーなど、ファウンドリの顧客による製品の市場投入までの時間を短縮するための技術開発へ優先的に投資するとしている。

Intel CEOのPat Gelsinger氏は、「ファウンドリの顧客は、製品を差別化し、市場投入までの時間を短縮するために、モジュラー設計アプローチを急速に採用している。IFSは、この主要な業界の変化をリードするのに適した立場にある。新しい投資ファンドとOpen Chiplet Platformにより、エコシステムを推進して、チップアーキテクチャの全範囲にわたって破壊的技術を開発することができるようになる」と述べている。

  • 3Dパッケージング

    3Dパッケージング技術の出現により、SoCからSOP(System-On-Package)の実現に向け、複数のチップレットをモジュラーブロックとして組み合わせる方式へと移行していくこととなる (C)Intel