富山大学は2月8日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けワクチンの接種により得られる感染や重症化を抑える効果を有する「中和抗体」について、500名超を対象とし、オミクロン株への評価を含めたワクチン3回目接種後の評価結果を公開した。
これは、富山大附属病院ならびに富山大医学部が、富山大ならびに富山県衛生研究所で確立した中和抗体評価法(CRNT法)を活用して、新型コロナ変異株へのワクチンの有効性評価に関する取り組みの一環として行われたもの。今回のワクチン3回目接種の変異株への効果については、富山大学附属病院職員(2回接種後648名、3回接種後565名。3回ともすべてファイザー製ワクチンを接種)を対象に、CRNT法(100倍希釈血清)を用いて測定を行ったという。
それによると、ワクチン3回目の接種前(2回接種後6か月)における中和抗体によって細胞へのウイルス感染が阻止される割合である中和活性の中央値は、野生株が84.6%、デルタ株が36.2%、オミクロン株が31.2%で、デルタ株およびオミクロン株では野生株より低い値が示されていたものの、3回目のワクチン接種後(3回接種後 2週間)では、野生株99.9%、デルタ株99.1%、オミクロン株94.6%となることが確認されたという。
また、中和活性の値が高い人(80%以上)が対象者のどれくらいなのかという割合に着目した場合では、2回接種後6か月(3回目接種前)においては、野生株が61.3%、デルタ株が2.8%、オミクロン株が1.2%であったものが、3回目接種後(3回接種後2週間)では、野生株100%、デルタ株100%、オミクロン株98.1%に増加したことを確認したともしている。
なお、研究チームでは、これらのデータについて、オミクロン株に対しても、ワクチン接種によって感染や重症化を押さえる働きがある中和抗体が産生されることを示すものであるとするほか、この中和抗体は、ワクチン3回目接種により大きく回復することも示されたとしており、日本国内におけるワクチン接種の有効性を理解するうえで重要な資料となると説明している。