ソフトバンクグループは2月8日、 2022年3月期第3四半期(10~12月期)の決算を発表した。売上高が前年同期比10.7%増で4兆5,808億4,000万円と成長した一方で、純利益が98%減(前年同期:1兆1719億円)の290億円と落ち込んだ。傘下のビジョン・ファンドにおいて、主に中国高成長企業の時価が下落していることが要因としている。
時価純資産(NAV)は2021年12月末時点で19兆3,000億円と、3カ月間で1兆6,000億円下がった(2021年9月末時点で20兆9,000億円)。
同日開かれた決算発表会に登壇した、ソフトバンクグループ取締役会長の孫正義氏は「冬の嵐の真っただ中にいる。嵐は終わりをみせるどころか強まっている」と苦い顔を見せた。
また同社は、傘下の英半導体設計子会社アームを米半導体大手エヌビディアに売却する計画を断念したと発表。2020年9月にエヌビディアと売却で合意したが、米、英、欧州などの各国政府、世界のIT企業がこぞって反対したことを受け断念。孫氏は「各国政府やGAFAといったIT企業がこの売却を阻止すべく強い動きに出るなか、これ以上努力をしても認められないだろうと判断した」と話した。
一方で、孫氏は売却断念を受け、アームを2023年中に上場させる方針を示した。「買収5年後の上場は買収当日から決めていた」と説明し、「当初からの期限で再上場させる。もともとのプランに戻るということだ」と語った。
続いて、孫氏は「アームは第2の成長期に入る」と強調し、成長戦略を加速させることを示した。アームは同日、サイモン・シガース氏の最高経営責任者(CEO)および取締役会メンバーの退任、ならびに新たなCEOおよび取締役会メンバーとしてレネ・ハース氏を任命したことを発表した。孫氏は「若返りを図り、経営陣をより攻撃的で、エネルギッシュな形に切り替える」と説明。
そのうえで、アームの再上場について「半導体業界史上、最大の上場を目指す」として、正式に準備に入ることを表明した。孫氏は「アームが我々に戻ってきた。2年前と違って財務も非常に良好で自信を持っている。成長を楽しみにしている」と笑顔を見せた。