富士電機が、パワー半導体の生産拠点の1つである富士電機津軽セミコンダクタにおいて、SiCパワー半導体の増産に向けた設備投資を決定した。
富士電機津軽セミコンダクタは、もともと日立北海セミコンダクタを経てルネサス北日本セミコンダクタウェハ統括本部津軽工場であったものを、富士電機が2012年に買収したもので長年にわたってパワー半導体を中心に半導体を製造してきた。
富士電機は2023年度を最終年度とした5か年中期経営計画(2019年度~2023年度)で、パワー半導体に合計1200億円の設備投資を行うことを掲げ、シリコン200mmウェハの前工程ラインを中心に設備投資を進めてきたが、昨今の電動車や再生可能エネルギー向けの需要増加を背景に、今回のSiCパワー半導体への投資も含めて、パワー半導体への設備投資額を1900億円まで増額させる見込みとしている。
世界のデジタル化の潮流により、電子機器の増加、ならびに自動車などの電気/電子(E/E)化などによるパワー半導体の需要が増加。中でもSiCパワー半導体は、その特性からシリコンに代わる次世代半導体と考えられており、高い成長が期待されている。
そのため同社もこれまで鉄道車両向けインバータや、太陽光発電所の電力変換用パワーコンディショナなどに向けたSiCパワー半導体を開発、提供してきたが、生産能力が拡大する今後は市場の拡大が見込まれる電気自動車向けにもSiCパワー半導体を提供していくとしている。
なお、今回決定された新規設備での量産開始は2024年度を予定している。SiCパワー市場には、Wolfspeed(旧Cree)、Infineon Technologies、onsemi、STMicroelectronics、ローム、三菱電機、デンソーなどが参入しており、従来の太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー分野に加え、電気自動車を中心とした新規市場が立ち上がるのに合わせて事業拡大を目指している。