りそなホールディングス(りそなHD)、NTTデータ、日本IBMは2月7日、記者会見を開き、金融デジタルプラットフォームの提供を加速するための新会社の設立について、合弁契約を締結したと明らかにした。
金融デジタルプラットフォームの提供を加速するために
3社は、昨年7月に金融業界において多くの金融機関と異業種など外部企業をつなぐ、金融デジタルプラットフォームの提供のため、検討委員会において3社で具体的な協議・検討を行ってきた。結果として、同事業を引き続き3社で協力して推進するために必要な合弁会社の設立に向けて、合弁契約を締結。
新会社は「FinBASE(フィンベース)株式会社(英文:FinBASE Co., Ltd.)」、資本金は1億円、出資比率はりそなHDが80%、NTTデータが10%、日本IBMが10%となり、2022年4月1日の設立を予定している。事業内容はプラットフォーム参加者の開拓、情報収集および市場調査など。
社名の由来は、多くの参加者をつなぐハブとなる「デジタルバンキング基盤」を提供するプラットフォームであるとともに、このプラットフォームから革新的なサービスが連続的に生み出される基盤・基礎になることをイメージしている。
金融デジタルプラットフォームは従来の枠組みにとらわれず、さまざまな企業が利用できるオープンなプラットフォームの提供を目指し、地域金融機関や一般事業法人などの利用企業は、金融デジタルプラットフォームを活用することで、テクノロジーを有する企業が持つ多くのサービスを利用することが可能になる。
また、機能提供を行うフィンテック企業などは、自社の機能・サービスを地域金融機関などの幅広い参加者を通じて日本全国に届けることができるという。
りそなホールディングス DX企画部長の横山智一氏は「長引くマイナス金利の影響下において、従来型の銀行ビジネス・業務自体が大きな変革に迫られている。このような背景の中、これまでのように余暇資金を集めて、信用リスクを取って貸し出すビジネスから新しい金融サービスが問われており、新しい時代に向けて顧客の体験価値にベストなものを提供しなければ選ばれなくなってしまう」と危機感を露わにする。
続けて、同氏は「大きな仕組みやシステムでは、顧客ニーズに応えられない。昨今のフィンテック企業では特定の分野にサービスを提供するからこそ、支持されている。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくという当社の経営方針の中で、これからの金融サービスに取り組むにあたり、今回の金融デジタルプラットフォームは1つの解決手段になると考えている」と話す。
まずは地域金融機関を中心に利用企業の拡大
今後、金融デジタルプラットフォームを軸に、まずは地域金融機関を中心とした利用企業のさらなる拡大を図るとともに、顧客体験を重視した新たな機能やサービス提供に向けた協業の検討を進めていく。
例えば、顔認証技術を活用したマルチチャネルネットワーク(実証実験中)などを同社グループ内で展開し、その後は地域金融機関への提供を目指す。なお、プラットフォーム上で利用できる機能はニーズに合わせて最適なソリューションを想定している。
これらの取り組みにより、オープンイノベーションを実現し、あらゆる地域の顧客に利便性や体験価値の向上、地域経済の活性化に貢献し、持続可能な社会の構築を目指す考えだ。
NTTデータ 第一金融事業本部 金融ITマネジメント事業部長の境賀宏氏は「当社では長年りそなグループにITアウトソーシングサービスを提供しており、戦略から実装、デジタルからレガシーまで幅広い領域を支援している。当社が掲げる『Open Service Architecture(オープンサービスアーキテクチャー)』を掲げており、この戦略に合致しているため参画した」とコメント。
日本IBM IBMコンサルティング事業本部 金融サービス事業部 パートナーの常木陽子氏は「最新技術を活用した共創モデルを推進している。当社はDXの戦略パートナーとして、りそなグループを長年支援しており、日本のITをけん引してきたNTTデータとともに新しいコンセプトのもと、新しい事業を設立できたことは感慨深い」と述べていた。