藤田医科大学(藤田医大)は2月4日、同大学の教職員約200名のファイザー社製新型コロナワクチン接種後の抗体価の追跡調査を行った結果として、追加(3回目)接種によるブースター効果を確認することができたこと、ならびに同大学の職員約3000名の抗体価の測定結果から、2回目を接種してから日数が経過した人ほど抗体価は低い傾向にあることがわかったことを発表した。

同成果は、藤田医大大学院 保健学研究科の藤垣英嗣准教授、同・山本康子准教授、同・齋藤邦明教授らの研究チームによるもの。

2022年2月初旬時点で、世界的に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株「オミクロン株」の感染拡大が続いており、その対抗策として3回目のワクチン接種が進められており、すでに海外の臨床研究からは3回目接種による入院予防・重症化予防・死亡予防などの各種予防効果が報告されている。

しかし、日本国内における3回目接種による効果に関しては、まだ限定的と言える状況である。藤田医大では、ワクチンを接種した病院職員・教職員を対象に、接種後の抗体価の経時的な変化の調査を継続してきており、今回の取り組みから、3回目接種後の測定結果が得られたという。また、同大学では健康診断時にも職員の抗体価の測定を行っており、今回はその結果も併せて報告された。

具体的には、今回、研究参加に同意した同大学の病院職員・教職員のうち、ワクチン接種前から3回目接種後まで経時的に血液が得られた198名(男性62名、女性136名)を対象として、抗体価の経時的な変化を調査。採血は、ワクチン接種前、1回目接種約14日後、2回目接種約14日後、2回目接種約70日後、2回目接種約6か月後、3回目接種約14日後の6回で、抗体価は、富士フイルム和光純薬のアキュラシードCOVID-19抗体が用いられ、血清中のSARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体が測定されたほか、3回目を接種する前の同大学職員の健康診断時に得られた血清(男性1176名、女性2149名、合計3325名)を用いて同様の方法でIgG抗体価の測定が行われた。

その結果、2回目接種から約6か月経過後の抗体価の平均値は、2回目接種直後に比べて約10分の1に低下したが、3回目の接種により抗体価は、2回目接種後に比べると2.3倍、3回目接種前に比べると27.9倍に上昇したことが確認されたという。

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    抗体価の経時的な変化が表されたグラフと表 (出所:藤田医大Webサイト)

また、職員3325名の健康診断時のIgG抗体価の測定結果は、2回目の接種から1か月程度の抗体価は高レベルにあったが、性別に関わらず接種してから日数が経過するほど抗体価が低い人が多い傾向にあることが判明したとする。

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    同大学の職員約3000名のワクチン接種後の抗体価の変化のプロット (出所:藤田医大Webサイト)

なお、研究チームはこれらの結果について、追加接種の前倒しが必要な理由を反映した結果と思われるとしているほか、3回目接種後の抗体価の平均値は2回目接種後の2倍以上を示しており、各種予防効果は2回目接種後よりもさらに高まることが期待できるとしている。

また、今回の結果はすべてファイザー製ワクチン接種者の結果ながら、武田/モデルナ製の追加接種および初回接種と追加接種で異なるワクチン接種(交互接種)でもブースター効果は認められ、厚生労働省によれば副反応も同程度であることが報告されていることから、ワクチンの種類に関わらず、3回目の接種を行うことが推奨されるとしている。