半導体製造装置大手のApplied Materials(AMAT)が、テキサス州オースチン近郊のハットーに20億ドルを投じて、先端プロセスに対応する半導体製造装置の量産工場を建設することを検討していると、オースチンの地元紙Austin Business Journalや地元テレビ局のTVUEなどが報じている。
米国では現在、少なくともTSMCがアリゾナ州に5nmプロセス工場を、Samsung Electronicsがテキサス州に3nmプロセス工場を、Intelがアリゾナ州とオハイオ州に4nm~1.8nmプロセス工場を数年以内に稼働させることを計画しているほか、Texas Instruments(テキサス州)やGlobalFoundries(ニューヨーク州)なども先端プロセスほどではない工場の建設を予定している。
AMATは、シリコンバレーに本拠を置くが、1990年代に量産工場をテキサス州オースチンに移した過去がある。米国政府の国内半導体製造強化策により、今後、米国内で半導体工場の建設ラッシュが始まる見通しで、先端製造装置の需要が急騰することが予想されているため、AMATは、新たな工場の建設地を探しているという。ただし、まだハットーに確定したわけではなく、最有力候補地という状況だという。
ハットーは、Samsumgが170億ドル(約2兆円)を投じて最先端工場建設を決めているテイラーと州都オースチンの中間に位置する人口3万人弱の小都市。地元メディアによると、同市は「Project Acropolis」と称する企業誘致プロジェクトを進めているが、関与している半導体関連企業名は伏せられていたという。AMATは、450エーカーの土地にまずは3億4000万ドルを投じ、10年間で総額20億ドルを投資する見込みで、800人以上の雇用が創出されるという。
なお米国連邦議会下院は2月4日付で、米国政府が520億ドルを出資し、米国の半導体製造を強化する法案を可決した。成立には、連邦議会でのさまざまな調整手続きが必要だが、成立した場合、半導体デバイスメーカーだけではなく、それを支える製造装置・材料メーカーに対しても補助金を支給されることになっており、今後、米国商務省は、外国装置・材料メーカーの誘致にも注力し、サプライチェーンの米国内完結を目指すといわれており、米国では、半導体工場のみならず、装置材料メーカーの工場建設ラッシュになる可能性が出てきた。