弥生は2月7日、「確定申告のデジタル化に関する意識調査」の結果を公表した。同調査は確定申告を予定している全国の個人事業主1000名が回答している。
青色申告者において確定申告での電子申告(以下、e-Tax)を利用した人は、令和元年(2019年)分が26.5%、令和2年(2020年)分が36.4%と9.9ポイント上昇した。その背景として、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための非接触・非対面の推奨や、青色申告特別控除の要件変更などがあるという。
青色申告特別控除の要件変更としては、令和2年(2020年)分の確定申告から個人所得税の控除額が変更されている。合計所得金額が2400万円以下の場合、基礎控除額が10万円増加して48万円になる一方で、青色申告特別控除額は65万円から55万円となる。ただし、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行うと青色申告特別控除額が65万円となる。
令和3年(2021年)分の確定申告のe-Tax利用意向は39.3%と、令和元年分から令和2年分の増加と比較すると微増にとどまる。その背景には、コロナ禍が継続する中で青色申告特別控除の要件変更のように大きく利用を促進する要因がないことがあると推測される。なお、令和3年分のe-Tax以外の確定申告提出方法として、26.5%が「税務署に持参」、13.3%が「税務署へ郵送」を利用する意向を示している。
e-Taxの利用意向を示した個人事業主に理由を聞くと、「税務署に行かずに済むから」が53.8%と最も多い結果となった。「時間を気にせず手続きができるから」(46.9%)、「申請の時間を短縮できるから」(38.0%)とする回答が後に続いた。また、「混雑・人混みを避けられるから」との回答が36.9%であったことから、コロナ禍における非接触・非対面の需要もe-Taxの利用促進要因となっていると推察される。
反対に、e-Taxを利用したくない理由としては「紙での提出に慣れているから」が49.4%と約半数を占める。第2位の「ICカードリーダー/ライターを買いたくないから」(22.1%)と大きく差が開く結果となった。「税務署/確定申告会場で相談したいから」(17.4%)とする要望も強いようだ。
令和3年(2021年)分の確定申告から、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」に限りマイナポータルアプリでパソコン上に表示された2次元バーコードを読み取ることで、ICカードリーダー・ライターが不要となる。この認知について聞くと「知らない」が47.9%に上り、e-Taxを利用するには必ずICカードリーダー・ライターが必要だと思っている人も多いことがうかがえる。
確定申告の課題や悩みについて質問すると、「間違いや不備がないかどうかわからない」とする回答が39.7%で最も多かった。個人事業主のこうした不安がe-Taxを利用しない理由第3位の「税務署/確定申告会場で相談したい」につながっているのではないかと予想される。第2位は「作成に時間や手間がかかる」(35.3%)となった。一方で、自宅などからe-Taxを利用したことがある人のうち、約7割が時間短縮を実感しているという結果もあるという。
証憑整理や取引記録を自動取込・自動仕訳をするインプットのデジタル化については、27.6%の人が利用していることが明らかになった。利用した人に満足度を聞くと、「非常に満足」が38.9%、「やや満足」が51.4%と約9割以上の人がインプットのデジタル化に満足している結果となった。