ファブレス半導体大手のQualcommは、2022年会計年度第1四半期(2021年10~12月)の売上高が、前年同期比30%増の107億ドルとなり過去最高を更新したほか、純利益も同34%増の34億ドルとなったことを発表した。
売上高の内訳は、半導体デバイス事業が同35%増の88.5億ドル、ライセンス事業が10%増の18億ドルで、半導体デバイス事業の内訳は、ハンドセット(スマートフォン)向けが同42%増の59.3億ドル、IoT向けが同41%増の14.8億ドル、車載向けが同21%増の2.6億ドル、RFフロントエンド向けが同7%増の11.3億ドルとなっている。
ハンドセット向けの売上比率が高いが、そのほとんどが中国で製造されたものであるため、中国地域の売上高が全売上高の7割(2021年、統計調査会社の米Statisca調べ)を占め、前年の6割から増加傾向しており、今後もこの傾向が続く見込みとされる。
米国政府は、同社が5G向け半導体をHuaweiに対して提供することを許可していないが、それ以外の多数の中国メーカーに対しての輸出は禁止しておらず、Huaweiに売れなかった分は、他社への拡販で十分カバーできている模様である。
なお、同社は2022年1~3月期の売上高のガイドラインを102~110億ドル、そのうち半導体デバイス事業による売上高を87~93億ドルとの見通しを示しており、いずれもアナリスト予測よりやや高い値となっている。
Qualcommの社長兼CEOのCristiano Amon氏は、「今回の記録的な四半期業績は、私たちの製品や技術に対する需要の大きさを物語っている。半導体デバイスの売上高は、他のどのファブレスよりも多かった」と同四半期を振り返っているほか、将来に関しては「Qualcommが狙っている市場(モバイルとインテリジェントエッジ)は、今後10年で7倍以上(7000億ドル規模)に成長する見込みであり、自社の歴史上、最大のチャンスが始まったばかりである」と抱負を語っている。
なお、同社は現状では売上規模が全社売り上げの3%にも満たない車載半導体事業にも注力しており、自動運転時代に対応する「Snapdragon Ride Vision System」のコアとなる4nmプロセスを採用したコンピュータビジョンSoCの拡販につとめるという。また、同社の車載プラットフォームの主要顧客としてGeneral Motors、BMW、Renaultの名前が挙げられている。