多国籍情報提供会社Informaの市場動向調査部門であるOmdiaによると、2021年はプレミアム有機ELテレビの販売が好調だったことに加え、スマートフォン(スマホ)の販売数が回復したことにより、有機EL(AMOLED)ディスプレイパネルの需要が急増したという。需要をパネル面積で換算すると、前年比52.0%増の1420万平方メートルとなる見込みであるという。

また、2022年の有機ELディスプレイの需要についても、2021年に比べて減少はするものの、引き続き強い成長が見られ、数年間は安定した需要パターンに落ち着くことが予測されるとしているほか、有機ELパネルの面積需要は、2021年から2028年にかけて年平均11.6%で成長すると予測している。

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    有機EL(AMOLED)ディスプレイパネルの面積需要(百万平方メートル)の推移と今後の予測 (出所:Omdia)

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    有機ELディスプレイ需要(面積ベース)の用途別内訳の推移と予測 (出所:Omdia)

Omdiaのディプレイ研究部門シニアプリンシパルアナリストであるRicky Park氏は、「有機ELはスマホ市場で採用数を拡大しており、2021年は市場シェア35%以上を獲得したものと予想される。ほとんどのスマホブランドは、ハイエンドモデルに有機ELパネルを採用しており、最近では有機ELを活用した折りたたみ式スマホも積極的に発売しつつある」とコメントしている。

また、「Samsung Display、LG Display、BOEがフォルダブルディスプレイの供給能力を高めることに積極的であり、ディスプレイの大型化・高解像度化需要の高まりと併せて有機ELの需要を増加させている要因である」とも述べている。

2021年の有機EL需要トップはスマホではなくテレビ

Omdiaは、2021年のテレビ向け有機ELディスプレイの需要は前年比63%増と予測している。

2021年は、LG DispalyがWOLED TV向けディスプレイの生産能力を増強した。同ディスプレイは、2020年第3四半期に中国の広州工場で量産を開始し、2021年に工場での生産歩留まりが安定。プレミアムテレビには有機ELパネルの方が適しており、より多くのテレビブランドが有機ELテレビを発売しようとしている。

Park氏は、「面積ベースでは、2021年に初めてテレビ用有機ELの需要がスマホの需要を上回ると予想している」とコメントとしているほか、「有機ELテレビ用ディスプレイ2位のSamsung Displayは、2021年11月にQD-OLEDテレビ用ディスプレイの量産を開始し、Samsung Electronicsとソニーは2022年中にQD-OLEDテレビを発売する予定であると述べている」と今後、テレビ分野での需要も増加していくことを予想している。

また、モバイルPCブランドがハイエンドモデルに有機ELディスプレイの採用を進めており、Samsung Displayがそれに応じて供給量を増やしているほか、さまざまな仕様の製品をラインナップするようになっており、今後、市場における差別化要因として魅力を増していく可能性があるともしている。

なお、同氏は有機ELの次の潜在的な市場として、そうしたノートPCのほか、タブレット、デスクトップモニターなどのIT関連が期待されているとしている。