田中電子工業は、台湾と中国で半導体実装用ボンディングワイヤの生産能力増強に向けた工場の増設工事を進めている。
台湾高雄にCuボンディングワイヤ製造工場を新設
同社は、台湾の高雄市に高性能パラジウム被覆Cu(銅)ボンディングワイヤ(PCCワイヤ:Palladium Coated Copper Wire)を製造する工場を建設中で、工場稼働は2022年上期を予定している。
すでに同社は2011年より台湾桃園市の生産子会社にて、PCCワイヤの製造を行ってきたほか、高雄市に技術的なサポートを行う拠点を設置していた。今回の高雄市の新工場設立は、今後の需要増に対して安定した供給体制を整えることを目的としたものだという。
ボンディングワイヤは、一般に半導体素子とリード電極を接続する高純度金属ワイヤであり、その素材としては従来はAu(金)が主流だったが、身の回りに多くの半導体を搭載した電子機器が増えることに伴い、金に近い性能を持ち、かつコストの安いPCCワイヤへの需要が高まりを見せているという。
田中電子工業では新設の工場を含め、2025年までにPCCワイヤの生産能力を現在の約1.5倍に増強して世界的な半導体需要増加に対応するとしている。
中国杭州にパワー半導体用Alボンディング製造工場を増設
また、田中電子工業は、中国の杭州市にパワー半導体用Al(アルミニウム)ボンディングワイヤを製造する工場を増設することも2022年1月12日付で明らかにしている。
増設された工場の稼働開始は2022年11月を予定しており、同社ではこの新工場を含め、2025年までにパワー半導体用Alボンディングワイヤの生産能力を現在の約3倍に拡張し、今後の需要増加に対応するとしている。
同社は、中国における生産子会社の田中電子(杭州)にて、2001年より各種ボンディングワイヤの製造と、中国における技術サービス業務の提供を行ってきた。現在、中国国内におけるパワー半導体の国産化が急ピッチで進んでおり、これに伴う需要拡大に向けて、Alボンディングワイヤの安定した供給体制を整えることを目的に、新たな工場を増設することを決めた模様である。