台湾に本拠を置くシリコンウェハメーカー大手のGlobalWafers(環球晶円)が、シリコンウェハメーカーである独Siltronicを買収する計画は、2022年1月31日までに独政府からの認可を得られなかったために破談となったことを、欧米および台湾の複数メディアが2月1日付で報じたほか、GlobalWafers自身も正式発表を行った。

GlobalWafersやSiltronicが発表していた資料によれば、期限内に当局の認可を得られなければ、GlobalWafersが契約解除手数料としてSiltronicに5000万ユーロを支払うという条項が盛り込まれていたという。

米中貿易戦争や半導体不足などの影響で、各国政府は自国が持つ重要テクノロジーを自国内に保持しようとする動きを強めており、独連邦経済エネルギー省は1年余りにわたってSiltronicの身売り計画を審査してきたものの、期日までに審査完了には至らなかったという。

ただし、不承認になったわけではないので、GlobalWafersが再びSiltronicの買収や合併の審査申請を行うことは可能な模様だが、両社の契約では破談手続きに入ることになっているという。

なお、中国とドイツを除いた日米台韓などの主要国は2-21年中に認可しており、中国政府も2022年1月21日付で条件付きで独占禁止法の審査を終え、買収を承認をだしていたことから、独政府の承認を待つのみという段階であった。

もし、この買収計画が実行されていた場合、GlobalWafersは売上高業界2位のSUMCOを抜いて、トップの信越半導体に次ぐ売上規模のシリコンウェハメーカーとなる見通しであったため、信越半導体、GlobalWafers、SUMCOの3社が市場シェア3割前後で分け合う状況となると見られていた。

GlobalWafersの徐秀蘭最高経営責任者(CEO)「このような結果となってしまって残念だ」とのコメントを発表。同社は2022年2月中にも新たな計画を打ち出すと見られているが、業界関係者からは、米国内での半導体製造が再び活発化する兆しが見えてきたので、今後の投資先を米国子会社のMEMCのシリコンウェハ増産に振り向けるのではないかとの見方が上がっている。