台湾の大手ファブレス半導体メーカーMediaTekが1月27日に発表した2021年の決算業績によると、連結売上高は前年比53.2%増の4934億1500万NTドルで、過去最高額を更新したという。また、2021年の営業利益は前年比150%増の1080億4000万NTドル、利益率は46.9%となった。
2021年10~12月期についても、連結売上高が前年同期比33.5%増の1286億5400万NTドル、純利益は同93.3%増の297億2100万NTドルとなり、四半期ベースでの過去最高を更新したという。OPPOやXiaomiなどを中心に5G対応スマートフォン(スマホ)向けSoCの売り上げ増加したほか、Wi-Fiや電源向けICの売り上げも増加したことが背景にあるという。
同社は、スマホ向けSoCの競合であるQualcommからシェアを奪うことで成長を遂げており、新開発のハイエンド5Gスマホ向けとなるフラッグシップSoC「Dimensity 9000」については中国系スマホベンダやSamsungなどが採用を進めており、2022年1~3月期の売上高について1312億~1415億NTドルと見込んでいる。Dimensity 9000は、TSMCの4nmプロセスを採用して製造された初のチップとされており、TSMCが優先的にMediaTekに生産枠を与えたと言われている。
なお、MediaTekとTSMCは、2021年11月にTSMCの7nmプロセス「N7」を用いた8Kテレビ向けSoC「Pentonic 2000」を共同で発表している。これはMediaTekとTSMCが、仮想IDMを形成していることをあえて公表したものと考えられる。現在のMediaTekの最高経営責任者(CEO)である蔡力行氏は、かつてTSMCのCEOを務めた経験があり、TSMCから先端半導体の安定調達を進めるのとどまらず、今後は共同開発体制を強化していく模様である。プロセスの微細化がさらに進むにつれ、設計とプロセス開発の同時最適化のためには、ファブレスとファウンドリがさらに密接に協業するようになっていくことは必至であろう。