半導体材料市場調査会社である米TECHCETは、2021年の半導体製造(前工程)およびパッケージング(後工程)材料市場規模は前年比約12%増の約578億ドルとなったとの調査結果を発表した。また、2022年は同7%増の617億ドルとなると予想している。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより、在宅勤務や在宅学習向けロジックICとメモリICに対する強い需要が生まれた結果、経済活動の再開と併せて、半導体に対する需要は増加傾向になると見ており、そうした背景から材料市場の2020-2025年の年平均成長率について同社は6%超と予測している。特に3D NANDおよび先端ロジックデバイス分野は、2025年までの材料市場を成長させるけん引役になるとしている。

  • TECHCET

    2021年の半導体材料別市場の推移予測。プロセス材料(青色)、装置の消耗部材(橙色)、パッケージング材量(灰色)、シリコンウェハ(黄色) (出所:TECHCET)

なお、同社では、供給に対し需要が上回るとの見方をしており、以下のような指摘をしている。

  • シリコンウェハメーカー各社は工場の増設中であるが、現在ウェハ生産はフル稼働状態で供給量の増加がほとんど望めないため、需要が高まることで、サプライチェーンはさらなる緊張状態となる。
  • ガスやウェットケミカルを含む複数の材料セグメントは、中国の電力規制や、中国内の材料に対する需要の増加の影響をうけ、入手しにくくなっている。
  • 装置の消耗部材に対する生産能力は、2023年の需要を下回る可能性がある。増産するために必要な設備と原材料のリードタイムが通常の2倍から3倍に伸びているからである。パンデミックが2022年の後半に収まったとしても、成長する3D NANDや先端ロジックデバイスの生産をサポートするためのパーツが必要になるため、供給の逼迫は2023年以降も続くと予想される。
  • 先端ロジックおよびメモリチップ需要が材料消費を加速させるため、ALD/CVDプリカーサ(前駆体)の継続的な高成長が予想される。また、3Dスタックや新しいパターニングなどといった先端デバイス向け新規プロセスによって、より多くの種類のプリカーサに対する需要が増していく。