レーザーテックが1月31日に発表した2022年6月期上半期(2021年7月~12月期)業績によると、売上高が前年同期比14.6%増の369億円、 営業利益は同6.2%増の128億円となったという。
注目すべきは、受注高が同3.1倍の1788億円、受注残高が同2.3倍の2778億円と急増した点であろう。レーザーテックが世界シェアの大半を握るEUVリソグラフィ用マスク検査装置への需要が急増しており、利益の源泉となっている。このため、同社は2022年6月期の受注計画を前回計画より400億円上増した2000億円(前年度比77.1%増)へと上昇修正した。受注残高も400億円増の2528億円としている。ただし、2022年6月期の売上高および利益計画は、従来の計画通り売上高830億円、営業利益270億円に据え置いている。
EUVリソグラフィ用マスク検査装置の需要が急増している背景には、TSMCとSamsung Electronicsのロジックデバイスの微細化プロセス競争に、Intelも本格参戦し、各社からの注文が急増しているうえに、大手DRAMメーカー3社も最先端DRAM製造にEUVを採用しつつあることが挙げられる。このため、レーザーテックは、研究開発費を当初計画から約10億円上増しとなる約85億円とし、売上高の10%以上を新技術開発に注力するとしている。
同社は、半導体を取り巻く環境について以下のように分析している。
- 先端からレガシーに至るあらゆる半導体が不足しており、長納期化・価格高騰の影響が顕在化している
- 半導体不足に加えて地政学的リスクが懸念され、各国においてサプライチェーンの見直しの機運が高まっている
- 2022年下半期にはEUVリソグラフィを多用する3nmプロセスを用いた量産が見込まれるほか、DRAMにもEUVリソグラフィの量産適用が始まる
- 世界的なカーボンニュートラルな潮流により、パワー半導体の需要拡大が見込まれる
- 半導体関連の専門人材の需要が拡大し、世界中の多くの地域で採用競争が激化する
なおレーザーテックでは、業務の拡大にともない、2021年度536名であった従業員を、2022年度には705名(国内405名、海外300名)にまで増員する計画である(増員の内訳は国内77名、海外92名を予定)。