Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは1月31日、マルチセル・バッテリ機器で1段式電力変換を提供する、ステップダウンバックコンバータ「MAX77540」を発表した。

AR/VRヘッドセット、陸上移動無線機(LMR)、デジタル一眼レフ(DSLR)カメラといったマルチセル・バッテリ機器では、2段の電力変換と長時間駆動が求められる。

フロントエンドコンバータを使って5Vまたはそれ以下に降圧し、その後さらにシステムレベル電圧に降圧するなどの従来の方法は非効率的であり、結果としてシステムのバッテリ駆動時間に影響するという。この方式では追加のコンバータが必要で、これは多くの場合インダクタが必要となるため、最終的にソリューション実装面積の拡大とコストの上昇を招く。

同社は、MAX77540を用いることで、設計エンジニアは3A出力を2つ、または6A出力を1つのいずれかの出力を容易に作成することができ、デフォルトの起動時設定に必要なのは2個の外付け抵抗のみで、I2Cインタフェースによってパワーマネージメント技術を制御することが可能だとしている。

また、外部周波数トラッキングおよびスペクトラム拡散によって、データ検出および処理機器用の電磁波妨害(EMI)が小さい電力変換が可能という。

同製品は94%のピーク効率を備え、従来のクワッドフラットノーリードパッケージより61%小型の30ピン2.51mm ×2.31mm、ウェハレベルパッケージ(WLP)で提供される。4V~16Vの広い入力電圧範囲と2個の3Aスイッチング位相によってUSB-Cレールおよび2S/3Sマルチセル・バッテリからコア電圧へのシングルステップ変換が提供可能だという。

なお、MAX77540および評価キットの「MAX77540EVKIT」はいずれも出荷中とのことだ。

  • MAX77540製品画像

    MAX77540製品画像(提供:アナログ・デバイセズ)