楽天生命保険(楽天生命)は1月31日、保険加入希望者の健康状態から将来の入院リスクをAI(人工知能)で予測し、保険の引受査定を自動化するシステムを構築し、稼働を開始したと発表した。

新システムにより、保険申込時に告知する健康状態や過去の病歴情報から予測したリスクに基づき、保険引受の諾否判定処理を自動化する。申込件数増加に伴う査定担当者の負担の平準化と業務効率化を進め、また、自動査定を通じて取得するデータを集計・分析し査定基準の見直しにつなげる。

  • 新システムの特徴

新システムには日立製作所(日立)が提供するリスクシミュレーションサービス「Risk Simulator for Insurance」を活用。本格採用に先立ち、楽天生命と日立は2021年3月から約4ヵ月間PoC(概念実証)を実施し、同サービスを使った査定自動化について実現性を確認したという。

また、楽天生命は査定業務を自動化するだけでなく、病名や服用中の薬に関する情報の正確化にもつなげる。保険申込書における既往症の記載は自由記述となっていることが多く、申込書に記載されている病名や服用中の薬に関する情報には、誤字脱字や表記揺れなどが多く含まれる。

このような必ずしも正確な名称であるとは限らない健康状態や既往症情報からのリスク予測を、人手を介さずに一気通貫で行うため、日立は、申込書のテキスト情報を解析し、適切な病名や薬剤名、さらにはICD10と呼ばれる世界共通の傷病を分類するコードへ自動変換する機能を新たに開発した。同機能は新システムにも採用されており、2022年4月からは、「Risk Simulator for Insurance」の新機能として正式にリリースされる予定だ。

楽天生命は今後、AIによる査定自動化の対象範囲を拡げ、各種保険の加入手続きのさらなる効率化、申込手続期間の短縮やサービス品質の向上に注力していく。さらに、自動査定を通じて取得する引受データを保険金・給付金の支払いデータと突合し分析することで、医務査定の精緻化を図っていく方針だ。