厚生労働省に新型コロナウイルス感染症対策を助言する専門家組織は26日、オミクロン株が猛威を振るう現状などを分析する会合を開き、「少なくとも短期的には全国で感染拡大が継続すると考えられる」などとする見解をまとめた。また子供の感染者増加と、海外の一部で広がり、感染力がさらに強い可能性が指摘される同株別系統(亜種)への警戒が必要とされた。
厚労省によると、全国の新規感染者は26日、初めて7万人を上回った。専門家組織会合で示された資料によると、全国の直近1週間の感染者数は前週の2.2倍。同組織は全国的にオミクロン株がまん延し、「全国で新規感染者数が急速に増加していることに伴い、療養者数が急増し、重症者数も増加している」と強調。その上で「年代別では20代が減少する一方、10歳未満が増加している」「60代以上で増加していることに留意が必要」「感染の場は家庭、職場、学校、医療機関、介護施設などに広がりつつあると考えられる」などと指摘した。
10歳未満の子供の感染者増加について同組織のメンバーは、これまでの家族からの感染だけでなく、小学校や保育所などでの子供から子供への感染が大きな要因とみて、学校や保育所内での感染に注意を呼びかけている。
また、デンマークでオミクロン株の半数近くを占めているほか、英国やフランスなどでも相次いで確認されて感染力がさらに高い可能性がある、と伝えられる亜種の「BA.2」について、同組織は「現状、国内における主流はBA.1系統だがBA.2も検疫や国内で検出されている。今後も一定数のゲノム解析によるモニタリングを継続する必要がある」とし、懸念される亜種が、日本国内でも確認されていることを明らかにした。
BA.2の確認数など具体的なデータは公表されなかったが、同組織のメンバーである西浦博・京都大学大学院医学研究科教授から、デンマークでBA.2の「1人から何人に感染させるか」を示す指標「実効再生産数」がBA.1より顕著に高いことから、「デンマークでは新規感染者が増加傾向であり、今後の(国内)動向を注視する」との報告があったという。
オミクロン株のまん延による第6波について、多くの専門家は2月にはピークを迎え、その後感染者は次第に減少するとみている。しかし、英国や米ニューヨーク州のように急速に減少するかどうかは見通せない。同組織の脇田隆字座長は26日、「日本がどの時点で減少に向かうかはっきりしない」と述べて慎重な見方を示している。