Micron Technologyが中国上海にある同社の研究・開発センター(Micron Shanghai R&D Center)のDRAM設計部門を2022年中に解散し、同部門の中核人材である中国籍の社員約40名を対象に米国では得難い習熟技術者として米国への移民手続きを進めているとのうわさが中国の半導体業界に広がっていると、中国のハイテク産業メディア「集微網」が報じている。
同センターの営業やテストなどといった設計以外の部門やDRAMの組み立てやモジュール製造を行う西安工場の組織には変更はないという。
中国では、DRAMに参入しようと多くの企業がしのぎを削ってきたが、米中貿易摩擦の影響で海外企業から最新の設計・製造に関する技術の入手が難しく、参入障壁があがっており、海外技術者を高額でリクルートする動きが目立つようになっている。2019年には清華紫光集団が元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏を高級副総裁(Senior Vice President)に迎えてDRAM参入を試みたが、同社は2021年、債務超過による事実上の倒産状態となっている。MicronのDRAM設計チームからも、中国地場のIC設計メーカーやストレージメーカーに多くの人員が流出しているとのことで、Micronは、DRAM技術の漏洩を防ぐためにDRAM設計チームを解散することにした可能性が高いと中国の半導体業界関係者は見ている。
Micronは、以前、自社のDRAM製造技術に関する企業秘密を漏洩したとして、台湾法人の元社員やUMCおよびUMC社員、技術流出先の中国企業(JHICC)などを相手取って提訴したことがあった。最終的に、UMCがMicronに和解金を支払うことで合意したが、この事件以降、Micronは知的財産権の保護に注力してきている。
なお、シリコンバレーのファブレスの多くは、半導体の最大市場であり、人材も豊富な中国に開発設計センターを構えている場合が多い。