日本電産の永守重信会長は1月26日、同日開催のオンライン決算説明会において、「自社のトラクションモーターシステムに関して社内ですべての部品がそろうようにすれば、半導体不足などによる供給問題を起こすことは減らせる」として半導体の内製化や半導体メーカーの買収を検討すると述べた。同社はかつてルネサス エレクトロニクスの買収に動いたこともあったが、その際は実現できなかった。

ルネサスの元車載事業責任者を半導体開発役員として招聘

また、同社は決算発表に併せて2月1日付で、ソニーグループ執行役員兼ソニーセミコンダクタソリュ―ションズ副社長の大村隆司氏を執行役員 副最高技術責任者、半導体開発担当として迎え、日本電産としての半導体戦略を進めていくことも明らかにしている。

具体的には、大村氏が、半導体を内製するか、あるいは半導体企業を買収するかについて早いタイミングで判断し実行に移すという。

大村氏はもともとルネサス エレクトロニクスの車載半導体事業の責任者(執行役員常務)を務めた後、ソニーがスマートフォン向けがほとんどであったイメージセンサ事業の車載向け強化を目的に招へいしており、今回の発表で、日本電産へと移ることが明らかとなった。

また、永守会長は、工作機械メーカーについても2021年に買収した日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)だけではなく、今後も数社の買収を行うことで、半導体だけではなくモーター周りの部材をすべて社内で賄えるようにするほか、電気自動車(EV)向けトラクションモーターへの投資を加速させ、EVが普及期に入る2025年に向け、約3000億円を投じ、既存の6生産拠点に加えグローバルで複数の生産拠点の拡充を進めることも明らかにしている。