三菱電機にダブルブランドで提供しているTSNスイッチ

日本電機工業会(JEMA)、日本電気制御機器工業会(NECA)、日本電気計測工業会(JEMIMA)の3団体が主催する電機・計測産業を核とする産業界の最先端技術の展示会「IIFES 2022」にてMOXAの日本法人Moxa Japanは、1月6日に三菱電機にダブルブランドで提供すると発表した産業用TSNスイッチなどを紹介している。

Moxaは1987年に創業した産業用通信とネットワーキングソリューションを提供する企業。台湾に本社を置き、2020年1月に日本法人を設立した。

同社の展示ブースのコンセプトは「製造現場のすべてをつなぐ」。そのコンセプトのとおりエッジ接続、産業用ネットワーク基盤、産業用セキュリティ製品といったさまざまなネットワークソリューションが紹介されている。

  • Moxa展示ブースの様子

    Moxaの産業用通信に関わる幅広い製品群が紹介されている

展示ブースで紹介している産業用TSN(Time-Sensitive Networking)スイッチ「TSN-G5008シリーズ」は、ダブルブランド製品として三菱電機より「CC-Link IE TSN対応産業用マネージドスイッチ、型番:NZ2MHG-TSNT8F2」としても発売されている。

  • TSN-G5008-2GTXSFPデモ

    カメラとサーボモータをMoxaのTSNスイッチ「TSN-G5008-2GTXSFP」が同時に制御しているデモ(カメラとサーボモータの間にあるのがTSN-G5008-2GTXSFP

TSNは複数の国際標準規格で構成されており、標準のイーサネットネットワーク上で定時性を有したリアルタイムでのメッセージングを可能にする技術。イーサネットをベースに時間の同期性が保証されている。

同技術を用いることで、従来のイーサネット通信ではできなかったリアルタイム性を確保した制御通信と非リアルタイム通信である情報通信の混在が可能となる。

スマート工場など次世代の製造現場では、予知保全などに用いるデータなどをリアルタイムでITシステムに送ることが求められるが、TSN技術を用いることで制御を実施しながら、ITシステムにデータを送るといった情報通信を混在して実施することが可能となる。

ほかにも通信周期に合わせた制御なども可能で、ブースの担当者によれば「機器ごとに通信周期を設定できるので、通信周期を機器ごとにずらしたいという要望で相談に来たクライアントもいる」といい、高速性が必要な機器は早い周期で、高速性が必要ない機器は遅い周期で通信するなどの設定が可能だという。

セキュアなリモート接続をサポートする「Moxa Remote Connect」

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、産業機器のメンテナンスもリモートで行うことが求められている。

Moxa Remote Connect(MRC)は、MRCサーバ、MRCゲートウェイ「MRC-1002-T」、MRCクライアントソフトウェアツールを組み合わせたもの。

MRCサーバーで接続管理を行い、MRCゲートウェイでVPNトンネルを構築、MRCクライアントは接続するリモートデバイスを選択できるようにするデバイス管理ツール。これにより、現地の機器から暗号化されたデータを送ることができ、データ漏洩を防止しながら、機器のメンテナンスを行うことができるという。

  • Moxa Remote Connect(MRC)

    Moxa Remote Connect(MRC)の展示

また、同社では現場のネットワークを一画面上で管理することができる「MXview」の紹介も行っている。

ネットワークデバイスのセキュリティレベルや、ネットワークサマリをすべて表示できるダッシュボードなどを備え、ネットワークの可視化が可能となるソリューションだ。

  • MXviewのデモ

    ブースで見ることができるMXviewのデモ

Moxaの日本市場に向けた戦略とは?

2022年1月にMoxa Japanのゼネラルマネージャーに就任したチャールズ・チェン(陳昌林)氏。もともとはアジア全域のトップを務めていたが、日本市場へのさらなる注力に向け、日本のみを担当することになったという。同社の日本市場拡大への本気度が見て取れる。

  • Moxa Japanのゼネラルマネージャーに就任したチャールズ・チェン(陳昌林)氏

    Moxa Japanのゼネラルマネージャーに就任したチャールズ・チェン(陳昌林)氏

チェン氏にMoxaの今後の展望について伺うと「日本はグローバルで見てもトップの企業が多く存在し、そのような日本市場でクライアントに高いクオリティを持ったサービスを提供していきたいと考え、日本市場の拡大に力を入れています。

Moxaは日本市場において鉄道やスマートグリッドの分野で主要なクライアントとパートナーシップを結んできており一定の成果を挙げたと考えています。そして産業分野でもパートナーシップを拡大していくのが重要な戦略だと考えています。

そのうえで弊社が注力するのは主に4つ。1つ目はネットワーク管理のソリューション、2つ目は5Gを含めた無線通信、3つ目はTSN、4つ目はIEC 62443規格(産業機器のセキュリティ規格)に準拠したシステムの構築です。

グローバルに強い会社が数多くある日本で、Moxaはまだまだ伸びしろがあると考えています。日本の製造業界でも自動化やデジタル化を国を挙げて進めていくと思いますが、Moxaは産業ネットワークのリーディングカンパニーとしてそういった課題にソリューションを持っています」と日本市場に向けた戦略と展望を話してくれた。

  • Moxa展示ブースの様子

    「IIFES 2022」のMoxa展示ブースの様子