富士通Japanは1月25日、住民の健康寿命延伸に向けた自治体の介護予防施策を支援するため、将来的な介護リスク度合いを算出可能な「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2 介護予防AIスクリーニングオプション」(以下、介護予防AIスクリーニング)の提供を開始すると発表した。同ソリューションは、富士通が研究開発した説明可能なAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術である「Wide Learning」の仕組みを採用しているという。
「介護予防AIスクリーニング」は、同社の介護保険システム「FUJITSU 公共ソリューション MCWEL介護保険V2」(以下、MCWEL介護保険V2)を導入している自治体向けに展開する予定だ。
同製品は説明可能なAIを搭載しており、自治体らが有する過去のデータを学習することで将来の介護リスクの早期発見を支援する。AIは「MCWEL介護保険V2」で管理している住民の介護認定情報や同居人の有無などの世帯情報、過去の介護サービス受給履歴などを学習しており、過去に要介護認定を受けた人の情報から現在の住民の将来の介護リスクを予測可能なのだという。
また同製品は、介護認定のない人が1年以内に要支援2以上となる可能性がある高齢者の特徴に基づいて、将来的に要介護となるリスクが高い特徴の組み合わせと影響度ごとにグループ化しリスクが高い順にグラフ形式で可視化できる。自治体職員はこの情報を基に、要介護リスクが高まりやすい傾向を把握できるとのことだ。こうした層に対して健康教室などのイベントや住民へのヒアリングを講じるなど、積極的な予防施策への活用が見込める。
今回の製品化に先立って福島県いわき市で行われた実証実験では、同製品が算出したリスク度合いを参考に訪問ヒアリングを実施した結果、対象となったグループのうち69%の高齢者が生活や健康上の課題を抱えており支援を要していることが明らかになったという。また、91%の高齢者が介護予防健康づくりを目指す「通いの場」へ未参加だったため、個別に参加を促すなど具体的な介護予防施策の実施へつなげられたとのことだ。