ウクライナを取り巻く情勢が日増しに緊迫度を増している中、もしロシアによるウクライナ侵攻が実際に起きた場合、米国政府は新たな対ロシア輸出規制を行う可能性が高く、事前にそうした事態に備えるように、との通達を米ホワイトハウスが米国半導体工業会(SIA)に伝えたとロイターが1月19日付(米国時間)で報じている。

それによると、1月14日、米国家安全保障会議(NSC)の高官らがSIA幹部と電話会議を実施。ウクライナ情勢について、第2次世界大戦以来の最悪の侵攻になる恐れがあるとの認識をSIA側に伝えたという。米国政府は同盟国やパートナー国と連携し、ロシア経済に打撃を与えるさまざまな選択肢を検討している模様で、SIAトップは、会員の半導体企業に対して電子メールでそうした米国政府の意向を伝え、半導体輸出規制に備えるように伝達したという。SIAには、米国の半導体企業のみならず、キオクシアやSamsung Electronics、TSMCなども加盟している。

また、この報道を受ける形で、韓国メディアが韓国の半導体企業が警戒を強めていると1月21日付で報じている。それによると、最悪の場合、2020年9月に米国政府がHuaweiに対して適用したのと同程度の制限をロシアに適用する可能性があるとしている。

ただし、韓国半導体業界アナリストによると、半導体のバリューチェーンにおいてロシアは中国ほど重要ではないため、そうした規制であれば、業界に対する影響は限定的であるともしている。