日本工営とKDDIは1月24日、総務省の「タイ王国工業団地内におけるローカル5Gを活用したアプリケーションの実証試験」に採択され、同日より実証実験を開始することを発表した。
両社は、タイ国内のアマタシティ・チョンブリ工業団地にあるDaikin Industriesの工場内に、3GPP(Third Generation Partnership Project:移動通信システムの国際標準仕様を策定しているプロジェクト)が規定する5G無線装置/通信制御装置の標準仕様と、O-RAN Allianceが規定するO-RAN Specificationに準拠した5G用基地局3台を設置し、「4K360度カメラによる遠隔作業支援」と「カメラ映像・機械作動音声のAI 分析・判断」のアプリケーションを提供して、工業団地のスマートファクトリー化を目指す予定だ。
O-RAN AllianceとはOpen Radio Access Network Allianceの略称であり、5Gをはじめとする次世代の無線アクセスネットワークをより拡張性が高く、よりオープンでインテリジェントなものにする目的で活動している通信事業者、および通信機器ベンダーによる団体である。
「4K360度カメラによる遠隔作業支援」では、現場の設備や構造、作業者の位置、検査方法などを全体俯瞰するための4K360度カメラを設置して、カメラからの映像を5Gで遠隔の監視者に送信する。現場作業者はウェアラブルカメラ端末を装着し、遠隔の監視者は現場作業者目線の映像を確認するとのことだ。
4K360度カメラとウェアラブルカメラの超低遅延ライブ映像を活用して、遠隔地から双方向コミュニケーションを取りながら作業支援ができる環境を構築し、現場点検者の経験やスキル不足を補う。さらに、遠隔支援によって新型コロナウイルスの感染リスク軽減や移動コストの削減を図る。
「カメラ映像および機械作動音声のAI分析・判断」では、機械を常時撮影するIP(Internet Protocol)カメラの映像データと機械の動作音をマイクで収集した非圧縮音声データを5Gネットワーク経由でクラウドサーバへ送信する。送信されたデータをクラウド上でAIにより分析することで、機械の稼働監視や故障の予兆検知に役立てるという。予防保守によるコスト削減と保守作業の効率化や、作業員の負荷軽減を目指す。