IntelのPat Gelsinger CEOは1月21日(米国時間)、ホワイトハウスにて、バイデン大統領らとともに「オハイオ州の州都コロンバス郊外に2つの新たな先端半導体ファブ建設に向けた200億ドル(約2兆3000億円。1ドル=114円換算)を超える初期投資を行う計画」を発表したほか、同日午後には、オハイオ州にて州知事らと投資発表式典を開催した。
今回の投資は、急増する半導体需要に対応するための生産を促進し、Intelが掲げるIDM2.0戦略の一環としてファウンドリ顧客のニーズに応えるたに決定されたという。
また、同社は、新たなファブでの半導体開発をサポートすることを目的に、地元オハイオ州立大学はじめ多数の教育機関とのパートナーシップに向けて今後10年間で約1億ドルの投資を行うことを計画しており、同地域における半導体人材の確保に向けた取り組みも強化していくとする。
11兆円規模の投資で世界最大級の半導体製造拠点を構築へ
今回の投資はオハイオ州の歴史上、民間企業1社が行う規模としては最大級のもので、プロジェクトの初期段階で直接雇用3000人と建設関連などの間接雇用7000人が創出されるほか、全体で数万人規模の地元での長期雇用が生まれるとIntelは予想している。オハイオ州の州都コロンバス郊外のリッキング郡にある約1000エーカー規模の「メガサイト」には、合計8つのファブを収容でき、同サイトへの総投資額は今後10年間で1000億ドル(約11兆4000億円)に達する可能性があり、半導体産業における世界最大規模の半導体製造サイトの1つになるという。
オハイオ州にとって40年ぶりの建設となるIntelの新工場は、2022年後半より開始される予定で、稼働は2025年末からを予定している。採用プロセスはIntel 18A(他社の1.8nmプロセス相当)を予定している。
新工場は100%再生可能エネルギーで電力を供給し、Intelの2030年の持続可能性目標をサポートすることを目的に水使用量や廃棄物量を最小化するとしている。
ファウンドリサービスにも対応予定
オハイオで建設される新工場は、Intelの先端CPU製造のみならず、同社のファウンドリビジネス「Intel Foundry service(IFS)」に対する需要の高まりもサポートすると言う。
インテルのシニアバイスプレジデント兼IFSプレジデントであるRandhir Thakur(ランディル・タクール)氏は、「オハイオ州の新工場は“オングストローム時代”向けに設計されており、Intel 18Aを含むIntelの最先端プロセスをサポートしている。これらのテクノロジーは、高性能モバイルから人工知能まで、さまざまなアプリケーションで次世代のファウンドリ顧客製品を実現するために不可欠である」と述べている。また、新工場では、米国政府ならびに国防総省独自のセキュリティニーズをサポートする最先端のプロセステクノロジーを提供するという。
装置メーカー各社もオハイオに進出
今回のIntelの投資は、製造装置や材料メーカー、サービスプロバイダなど、さまざまなエコシステムパートナーなどを同地へと呼び込むことが期待されている。すでに、Air Products、Applied Materials、LAM Research、Ultra Clean Technologyなどが、Intelの工場建設のサポートに向け、オレゴンでも物理的な拠点設置に向けた計画を立てており、将来的にはさらに多くの企業の進出が見込まれるという。
なお、Intelはアリゾナ州にも新たなファブ2棟の建設を進めているところだが、アリゾナ州ではTSMCも先端ファブの建設を進めており、半導体人材の奪い合いが始まっているという。一方のオレゴン州は、GMが自動車の組み立て工場を撤退させるなど、労働者の数は豊富なものの、半導体の専門人材そのものは不足しており、今回のIntelの工場新設を機に、地元のオハイオ州立大学などと連携して人財育成を強化していくとしている。