韓国のナノテクノロジー研究協議会、半導体技術融合センター、大韓電子工学会、韓国半導体ディスプレイ技術学会の4つの学術団体が1月11日、「ナノ半導体総合研究所設立の妥当性検討産官学討論会」を開催し、ナノ半導体総合研究所の設立を含むさまざまな半導体競争力強化案について論議したと複数の韓国メディアが報じている。

同討論会では、先端半導体の技術力育成に向けた案の1つとして、ベルギーimecや台湾TSRIを模した産官学の協力を基盤とした「ナノ半導体総合研究所」の韓国での構築の必要性を議論したほか、中国や日本に偏った半導体供材料の供給リスク解消に向けた輸入先の多角化についても議論が行われたという。

また、半導体製造装置に関しては、米国と日本の企業が市場シェアの過半を握っており、韓国の半導体製造装置メーカーのシェアは2%に過ぎない点も指摘され、供給先の多角化をはかり、半導体の核心技術を保有している国との協力関係を強化していく必要があるとの結論に達したとする。

大学での半導体人材育成に課題

このほか、半導体産業の発展に向けた人材育成の必要性も提起されたという。ソウルをはじめとする首都圏の大学は定員総量制が施行されており、他学科の人員を減らさなければ半導体分野に向けた人材育成の強化が難しい点という課題があることから、半導体契約学科制度も増強が難しいという。

半導体契約学科制度を活用した最初の学科となる半導体システム工学科が成均館大学に設置されて以降、延世大学と高麗大学がそれぞれシステム半導体工学科と半導体工学科を新設、2021年から学生の受け入れを開始している。SamsungやSK Hynixへの就職が入学段階で保証され、学費免除や奨学金を受けることができる制度で、韓国の深刻な一流企業への就職の難しさの中で、このような契約学科の人気は日増しに高まっており、競争率も高まっているというが、これ以上の募集定員の増加が法律上難しく、2022年1月10日に韓国国会で可決された「半導体特別法」にも、同制度に基づく定員の増加が盛り込まれなかったという。そのため、韓国半導体業界内からは、さらなる人材育成に向けた政策および制度的支援を韓国政府に求める声が高まっているという。