産業技術総合研究所(産総研:AIST)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT、茨城県つくば市)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の3者は、2016年度から2021年度までの6年間にわたって取り組んだ「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(通称:超超プロジェクト)の最終成果報告会を1月18日と19日の2日間にわたりWebサイト上で開催した。
なお、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)には出光興産、宇部興産、カネカ、コニカミノルタなどの18社と大阪大学、九州工業大学などの10大学が参画している。
産総研の機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターなどの複数の研究センターが中核となって、先端素材高速開発技術研究組合に参加した企業や大学などと共同で多彩な研究テーマを推進した成果を、同成果報告会で発表。NEDOは6年度間にわたって研究開発資金を提供し、プロジェクトマネージャー(PM)がプロジェクトの研究開発マネジメントを行い、研究開発成果が高まるように努めたという。
超超プロジェクトは、有機系機能性材料を主な対象としてマルチスケール・シミュレーションといった計算科学を活用し、現在不足している開発目標の新材料などの「構造」と「機能」を結びつけたデータ群を作り出し、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)と融合することによって革新的な機能性材料の創成・開発を目指した研究開発プロジェクトとして計画され実施された。
同研究開発プロジェクトは、計算科学部分だけでなく、実際に材料を試作するプロセス技術や、従来は観測できなかったものを観測可能とする計測技術なども並行して開発し、新規の高性能な機能性材料の開発と事業化を目指したものとして進められた。
2016年度から6年間にわたって、144.4億円の事業費(助成費と委託費の合計額)で実施されたようだが、当初の各年度の予算額が公表され、実際の全体事業費はまだ公表されていないため、金額は推定値となる。
今回の最終成果報告会の中で産総研は、2022年3月に超超プロジェクトが終了した後は、「データ駆動型材料設計技術利用推進コンソーシアム」を産総研や企業、大学などと立ち上げる計画を公表した。
同コンソーシアムでは「超超プロジェクトによってつくられた各種のデータなどを共有し、コンソーシアム会員間で秘匿化されたデータの共用も可能なAIST Materials Gate データプラットフォーム(DPF)を利用可能とする」という。
このDPFは開発目的とする材料群に応じて、「“光機能性微粒子”“配線/半導体材料”“電子部品材料”“機能性高分子”“触媒”の5分類で構成されている」としたほか、データ駆動型材料設計に関する最新の情報も提供すると説明している。
これによって、同コンソーシアムを日本国内に高性能な新機能を持つ有機材料系などの新材料を開発する基盤とする計画だ。
なお、同コンソーシアムについては、2022年1月26日~28日にかけて東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2022 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」内でも公開する予定だ。