アドビは1月20日、国内のビジネスパーソン1,500名を対象に実施した、営業職の業務のデジタル化状況に関する調査結果を発表した。今回の調査では営業職の主要業務を5つ(経費精算/出退勤記録/日報などの報告書/社内稟議書類/社外との契約書)に絞り、業種別に比較した。
主要5つの業務の中で、デジタル化が最も遅れていたのは「契約書など社外との重要書類」で、手書き署名や判子・捺印などの紙ベースで処理していると回答した割合は全体の62.5%という結果となった。
さらに、業種別で見ると、契約書などの重要書類を紙で処理する割合が最も高いのが「不動産業」で73.3%、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業(72.6%)」、「卸売り・小売業(70.5%)」と、7割以上の契約を紙で処理している実態が判明した。
一方で「保険業」では紙で処理していると回答した割合は36.1%と低く、電子署名/電子サイン利用率も27.8%(不動産では11.3%)と最も高い結果となり、業種によって大きく差があることが明らかになった。
これは、コロナ禍で大手生命保険会社などが各種生命保険などのオンライン販売を開始し、顧客と一切会うことなく契約が締結できるような非対面型営業を積極的に取り入れたことが大きな要因だと、同社は分析している。
また同調査では、電子署名サービスを利用している人に困っている点も聞いている。最も多かったのは「取引先で電子署名/電子サインツールが採用されていない(電子署名/電子サインでの締結を認めていない)(29.2%)」であり、約3割が相手先の問題となっていることが明らかになった。
アドビ 法務政策渉外本部 本部長 浅井孝夫氏は、同調査結果を受けて、「不動産業界においては、2022年5月に改正宅建業法が施行される予定で、従来紙の書面が必要であった『重要事項説明書』および『契約内容記載書面』の交付において、利用者の承諾の上で電子手続での対応が可能となる。業務の電子化、効率化を進めるには、法改正を含む行政の動きが重要になってくる」とコメントしている。