東日本電信電話(NTT東日本)、いちい、岡山理科大学は1月20日、好適環境水を用いた完全閉鎖循環式陸上養殖のビジネス化に向けた実証プロジェクトを同月21日より開始すると発表した。好適環境水とは水産生物の効率的な陸上養殖を目的として開発された人工海水であり、一部の魚類の成長を促進されることが確認されているという。

今回の実証プロジェクトでは、岡山理科大学が保有する技術の好適環境水や養殖ノウハウ、養殖プラントシステムと、NTT東日本グループが持つICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を組み合わせることで、ベニザケの生育速度の向上を目指す。ベニザケの生産に関わる作業の効率化や最適化および自動化と、陸上養殖に最適な設備構築の検討を進める予定。

また、いちいの店舗を活用して水揚げ後の加工や流通段階に対する評価も実施するという。バリューチェーン全体の観点から、ベニザケの完全閉鎖循環式陸上養殖のビジネス化に向けた検討に取り組むとのことだ。

  • 実証プロジェクトの概要図

昨今の海面漁業においては、地球温暖化などの環境変動や魚介類の需要増加などさまざまな要因が影響して、水産資源の枯渇が危ぶまれているようだ。2017年時点では、生産拡大余地のある漁場資源の割合がわずか6%程度である。また、日本国内の水産業界は高齢化や人手不足が深刻化しており、水産技術者の経験に基づく判断では今後の水産業全体の活性化が難しい。

こうした状況を踏まえて3者は、沿岸部や内陸部など場所を問わずに生産可能で、ICT利活用による生産環境のマネジメントが可能な完全閉鎖循環式陸上養殖のビジネス化を目指す。国内外で人気の高いサケ・マス類からベニザケを選定したとのことだ。