IntelとASMLは1月19日(現地時間)、IntelがASMLの現行の開口率NA=0.33のEUV露光装置の次世代機となるNA=0.55の高NA EUV露光装置の量産対応機「TWINSCAN EXE:5200」の購入に向けた最初の発注を行ったことを明らかにした。
ASMLは2021年の投資家向けイベントにおいて、EUVのロードマップを披露し、2025年には高NA EUV露光装置を量産現場で活用できるようにすると述べていたが、今回のIntelとの発表はこのロードマップに一致したものとされる。
ASMLプレジデント兼 CTOのMartin van den Brink氏は、「IntelのビジョンとASMLの高NA EUVテクノロジーへの早期の取り組みは、両社がムーアの法則を絶え間なく追求している証拠である。現在のEUV露光装置と比較して、開発中の高NA EUV露光装置は、複雑さ、コスト、サイクル時間、およびエネルギーを削減しながら、継続的なリソグラフィの改善を実現しようとするものである」と述べている。
Intelは2021年7月に開催した「Intel Accelerates」にて、2025年に向けたロードマップを公開。2022年後半より製造開始予定の「Intel 4」(従来の7nmプロセス)がEUV適用の最初の世代となり、2025年予定の「Intel 18A」にて高NA EUVを投入する計画としている。
すでに同社は2018年に高NA EUV露光装置のプロトタイプである「TWINSCAN EXE:5000」を注文済みで、その量産機となるTWINSCAN EXE:5200は1時間あたり200枚の生産性を有するモデルとなることが見込まれている。IntelのEVP兼技術開発担当ゼネラルマネージャーであるAnn Kelleher氏は、「ASMLと緊密に連携し、ムーアの法則を継続し、超微細加工を実現する手段として、高NA EUVリソグラフィによってもたらされる高解像度パターンを利用することにしている」と述べている。
先端ロジックデバイス量産でのEUV(NA=0.33)を用いた露光技術においては、先行するTSMCやSamsungと比べ後れを取ってしまったIntelだが、高NA EUV露光装置については、他社に先行して量産対応装置を入手することで、これまでの後れを一気に挽回しようとしているようだ。現行のEUV露光装置も、ASMLのみであるため生産できる台数にも限界があり、それを先端デバイスメーカー各社がどうやって確保するかといったしのぎあいの様相を見せているが、高NA EUV露光装置については、まだプロトタイプで出来上がりきっていないうちから、量産機の生産枠確保の競争が始まっているといえるだろう(EXE:5000は2023年にimec-ASML joint high NA EUV research laboratory(imec-ASML 共同高NA EUV研究所)にて稼働予定)。