NTTドコモは1月17日から19日まで、同社の研究開発事例や最新技術を活用したソリューションなどを展示するイベント「docomo Open House’22」を開催中だ。昨年に引き続き、本年もオンラインでの開催となる。
次世代のネットワークとして展開が待たれる6G(第6世代移動通信システム)や、NTTグループが目指す未来のコミュニケーション基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」の実現に向けた研究開発など、エンターテイメントや医療、教育、観光、広告・マーケティングの広い分野からブースを出展している。
オンライン会場では233点のブースが展示される予定だ。うち100点ほどはリアル会場にも展示されており、メディア向けに現地での見学の機会が与えられ参加してきたので、会場の雰囲気を感じていただけたら嬉しい。
ユニークな展示の一つに、モーションキャプチャで取得した動作データをVR(Virtual Reality:仮想現実)空間上にリアルタイムに3Dモデルとして反映する技術がある。同時術により、モーションキャプチャを利用したライブ配信を自由視点で視聴可能になる。動作データのみを通信するため少ないデータでライブ配信でき、最大4人まで同じ空間内で同時に撮影可能だ。
今回のイベントでは「リアルタイムモーションキャプチャラボ」として、モーションキャプチャで取得した動作データを大規模にライブ配信する技術を組み合わせた「VIRTUAL TOKYO」を展示する。docomo XR Studio(東京都港区)内にいるアクターがバーチャルヒーローに変身し、ライブデモを実演する。デモはVRに対応したヘッドマウントディスプレイから視聴可能。
次に紹介するのは、セコムとNTTドコモが共同開発したセキュリティロボット「cocobo」だ。「LOVOT」のデザインを手掛けた根津孝太氏(znug design)が同機のデザインを担当している。人との共同生活をテーマにしたという可愛らしい外見である。
巡回ルートを自動走行し、搭載のカメラ映像をリアルタイムにAI解析することで警備にあたる。残留者や転倒者を検知できるほか、熱源センサーを備えておりゴミ箱に捨てられたタバコなどを検出する。熱源を感知した際には警備室へ通報が届く仕組みだ。
最高速度は時速6キロメートル程度で、約5センチメートルの段差までは走行可能。傾斜地や凹凸面にも対応し、屋外の巡回警備も実行する。3時間の充電によって約3時間走行でき、バッテリーの残量に応じて自動で充電台まで戻る。有人環境でも自動走行でき、既に成田空港で4台が導入されているとのことだ。
同様に、両社らが開発した「AI搭載バーチャル警備員」も展示している。バーチャルキャラクターが警戒監視や受付業務を行うものであり、話しかけることでキャラクターが応答する。内部にはカメラやモーションセンサーを搭載しており、筐体の付近を人が歩くと目で追うような動きを見せる。サーマルカメラと組み合わせることで、受付業務と検温を同時に対応できるとのことだ。来訪者からの問いかけに応じて社内の担当者を呼び出したり、近隣の地図を示したりしていた。
建設現場向けのソリューション群として、「ドコモ建設現場IoTソリューション」を展示している。朝礼アシストはスマートフォン・PC・タブレットに対応しており、場所と時間に制約のない朝礼を実現する。朝礼で共有されるスケジュールや図面を、手元の端末から閲覧できるようになるものだ。「確認しました」のボタンを備えており、情報共有の漏れや抜けを防ぐことができるとのこと。
エンタメのブースには「羽根のないドローン」が飛んでいる。プロペラや羽ばたき翼を持たずに飛行する風船のような機体で、中にはヘリウムガスが充填されている。圧電素子による超音波振動で空気を吐出するマイクロプロアにより推進力を得ているという。
マイクロプロアの圧電素子の駆動周波数は26キロヘルツと、人間にはほとんど聞こえず動作音が非常に静かだ。また、超小型で非常に軽量なもので、人の指や髪の毛が巻き込まれる心配がない。フルカラーLED(Light Emitting Diode:発行ダイオード)により光りながら飛行するほか、アクションカメラによる撮影が可能だ。さらにネットワーク経由での自動飛行といった制御にも対応する。アーティストのライブやドローンショーでの空間演出といった場面での利用が見込めるようだ。
映像配信のブースには、スタンドアローン方式の5Gサービスを展示している。持ち運びが可能な程度の小型UPF(User Plane Function)を展示会場に配置することで、低遅延サービススライスを構築しているという。スライスごとのリソースが分割され、ほかのスライスが混雑している場合にも安定した通信を実現する。VRコンテンツを用いて低遅延な通信を体験可能だ。
放送業界など高いリアルタイム処理が求められる場合には、ユーザーのアプリケーションを実装した小型UPFをユーザーの近傍へ配置することで安定通信を提供するとしている。
さまざまな新技術を体験できる「docomo Open House’22」は、19日までオンラインで参加可能だ。