三菱電機は、4周波数帯に対応した世界最小級の測位端末用アンテナを開発したことを1月17日に発表した。

  • 衛星測位端末用アンテナ試作機

    衛星測位端末用アンテナ試作機(出典:三菱電機)

同アンテナが対応可能な4周波数帯とは、準天頂衛星システム「みちびき」の周波数帯域(L1/L2/L5/L6)を指し、周波数帯域を拡大したことで世界の主要な衛星測位システムと測位補強サービスに対応するとともに、小型化によりさまざまな移動体に搭載でき、自動運転など高精度測位情報の利用拡大が期待されるとしている。

アンテナの小型化には、アンテナ素子配線を立体化する独自技術を採用することで、59mm×59mmという小型サイズを実現したという。

また、小型アンテナがアンテナ占有空間に比例して性能が向上することを利用し、立体化により限られた占有空間の中でアンテナ形状を最適化することで、L1帯の周波数帯域が同社従来品比で約3倍に拡大し、従来品では未対応だったGLONASS衛星、INMARSAT衛星に対応するという。

アンテナ構造においても、直線状とループ状のアンテナ素子を組み合わせた独自構造により、アンテナ背面方向へのバックローブ放射を低減し、測位精度を劣化させるマルチパス波(地面からの反射波)を抑制し、従来のマルチパス波抑制手法のアンテナ大型化を適用せずに、小型でありながら高い測位精度が期待できるとのことだ。

小型で高精度な位置情報を扱えることから、物流用ドローンや農業向けドローン、小型トラクターといったさまざまな移動体で位置情報の活用が見込めるという。

なお、同社は今後、屋外での実証実験による測位精度評価を進め、実用化を検討していくとしている。