NTTドコモは1月17日、ケーブルの近くに置くだけでその周辺に通信エリアを構築できるアンテナを開発し、60GHz帯での実証実験に成功したことを発表した。

5Gサービスで利用している28GHz帯(ミリ波)や、6Gに向けて開拓を進めているさらなる高周波数帯の電波は直進性が強く、基地局から見通せない場所や周囲を障害物で囲まれた場所の通信エリア化が課題となっている。

  • 同アンテナの60GHz帯域での実証の様子

同アンテナは、高周波数帯の電波を伝搬するケーブル(伝送線路)である誘電体導波路を、床、壁、天井、あるいは什器などに埋め込んでも、埋め込まれた誘電体導波路の近傍に置くだけで通信エリアを構築できる。同アンテナを活用することにより、遮蔽物が多い環境下でも、誘電体導波路で見栄えを悪くすることなく、きめ細かな高周波数帯のエリア構築が可能になるという。

同アンテナは、高周波数帯の電波を伝搬するケーブル(伝送線路)である誘電体導波路に、プラスチック小片を接触させることで接触箇所から電波が漏洩する、という物理現象を利用。

実証実験では、誘電体導波路を埋め込んだ板に本アンテナ(プラスチック小片)を置くことにより、その周辺に通信エリアを構築でき、複数の箇所に同時に同アンテナを置くと複数の場所で同時に通信エリアを構築できることや、同アンテナの大きさや配置方法を変えることにより構築する通信エリアの範囲や方向をコントロールできることを確認したという。

同アンテナは誘電体導波路から離すことにより電波の漏洩を止めることも可能なため、無駄な電力放射の低減によるエネルギー利用の効率化にもつながる。

2022年度上期からは、5Gサービスで利用している28GHz帯(ミリ波)での同アンテナによる通信エリア構築の検証を開始し、実用化を目指す方針だ。