全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計したところ、IT・ソフトウエア業界の2021年12月のM&A発表件数は13件で、12月としては2012年以降の10年間では、2018年(15件)に次ぐ2番目(2013年と同数)となった。IT人材の不足や企業の選択と集中の動きなどがM&A件数を押し上げた。
一方、取引金額は7億500万円で、こちらは12月としては2012年以降の10年間では、2015年(12億3000万円)を下回る過去最低となった。10億円を超える案件がなく、13件中10件が金額非公表や未確定だったため、金額が伸びなかった。
金額トップはみらいワークスの3億7000万円
取引金額のトップは、みらいワークスが人材分野のリード(見込客)獲得を支援するプラットフォーム「FIND CAREERS」を運営するAnd Technologies(東京都港区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は3億7000万円。主力事業のビジネスマッチングサービスにおける新規登録者の獲得拡大を見込む。
金額の2番目は、エムティーアイがAI(人工知能)関連サービスのAI Infinity(東京都港区)の持ち株比率を17.55%から51.56%に引き上げ、子会社化することを決めた案件で、取得価格は2億円。AI事業の強化が狙いだ。
金額の3番目は、アピリッツがWebシステムやスマートフォンアプリを開発するムービングクルー(東京都千代田区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価格は1億3500万円。ムービングクルーが得意とするエンターテインメント領域の開発ノウハウやデジタル人材を迎え入れ、デジタル事業の拡大につなげる。