iPadのバッテリーはどの程度もつのか?
iPadは人気の高いタブレットだ。パソコンやスマートフォンと比べるとタブレットのシェア自体は数%台で推移しており、パソコンやスマートフォンを置き換えるデバイスではない。しかし、ネットサーフィンやメッセージング、スマート電子メモ、メールチェック、SNS、読書、資料ストレージ、グラフィックなど、人によっては欠かすことのできないデバイスだ。
最近のノートPCは小型で軽量である上高性能だが、iPad Airといったデバイスはそれよりも軽く持ち歩きやすい。読書が目的ならiPad miniは最高の体験を与えてくれるデバイス。どこへでも持っていってさっと使える。これがiPadの魅力の一つだ。
このiPad、どの程度バッテリーがもつかだが、本稿執筆時点でAppleが提供しているデータをまとめると次のようになる。どのモデルもCellularモデルなら携帯電話データネットワークでインターネットを利用した場合は最大9時間とされている。
モデル(Wi-Fi+Cellular) | 携帯電話データネットワークでインターネット利用 |
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iPad Pro (12.9インチ) | 最大9時間 |
iPad Pro (11インチ) | 最大9時間 |
iPad Air | 最大9時間 |
iPad | 最大9時間 |
iPad mini | 最大9時間 |
もちろん、これは使い方による。最大の時間で使える条件が公開されていないのでなんとも言えないが、参考までにAppleがiPhoneの駆動時間として提供しているデータをまとめると次のようになる。
モデル(Wi-Fi+Cellular) | ビデオ再生(ストリーミング) |
---|---|
iPhone 13 Pro Max | 最大25時間 |
iPhone 13 Pro | 最大20時間 |
iPhone 13 | 最大15時間 |
iPhone 13 mini | 最大13時間 |
iPhone 12 | 最大11時間 |
iPhone 12 mini | 最大10時間 |
iPhone SE | 最大8時間 |
iPadのほうが搭載されているバッテリーサイズが大きそうなので使用時間も長そうだが、その分ディスプレイも大きく消費電力も多い。使用時間としてはiPhoneのほうが長い状況になっている。
使えば劣化するリチウムイオンバッテリー
自宅で使うのがほとんどという場合は別として、iPadを持ち運んで使っているなら、バッテリーのもちは長いほうがいい。しかし、iPadが使っているリチウムイオンバッテリーは消耗品であり、使うことで必ず劣化する。これはリチウムイオンバッテリーの物理特性なので、どうにもならない。使って充電をすればそれだけ劣化する。それがリチウムイオンバッテリーなのだ。
iPadも例外ではなく、バッテリーのフル充電相当の充電回数が増えれば増えるほど、劣化が進み、最大充電容量が減っていく。2年や3年iPadを使っていると、徐々にバッテリーがもたなくなったなと感じるようになると思うが、気のせいではなくそれが適切な状態だ。
リチウムイオンバッテリーの劣化を避けることはできないが、リチウムイオンバッテリーの特性を知ることで少しでも延命を図ることはできる。リチウムイオンバッテリーは現代ではさまざまなデバイスで使われている。その特性を知って適切な運用を行うことは、iPad以外のデバイスにも応用できる。デバイスはその特性を正しく理解し、適切に運用していくことが肝要だ。
デバイスを適切な状態で使ってできるだけ長く快適に使ってもらえればと思う。以下、リチウムイオンバッテリーのもちをよくする方法を紹介していく。
バッテリーに快適な温度で使う
リチウムイオンバッテリーは温度で劣化する。Appleは最適な範囲を16度から22度まで定めている。人間が快適と感じるくらいの温度が、iPadもバッテリーにとっても快適な温度だ。稼働温度範囲は0度~35度としているが、できるだけ最適な範囲内で使ったほうが劣化を抑えることができる。
なお、35度以上で放置するとバッテリーが損傷する可能性が高くなる。さらに、この状態で充電を行うと劣化がさらに進むこともわかっている。「夏の暑い時期に直射日光の当たる窓際に置く」「車のダッシュボードに放置する」「冬に暖房器具の近くや暖房器具の上にiPadを放置する」といったことをするとバッテリーの劣化が進む危険性が高くなる。
0%、100%にしない
自宅で使っている場合など、常に電源に接続した状態でiPadを使うことも多いだろう。しかし、これはリチウムイオンバッテリーの品質維持の観点からするとよくない。リチウムイオンバッテリーは0%でも劣化するし、100%でも劣化する。常に電源に接続した状態にすると、ちょっとバッテリーが使われるとすぐに充電が行われる。100%が維持される上、充電が行われてバッテリーの劣化も進む。できれば避けたい使い方だ。
充電が80%に到達したら充電を停止するといったような設定はパソコンによっては提供されている。iPadではそうした機能は提供されていない。AppleはiPadOSの機能を工夫することで、以前よりもバッテリーの劣化が進まないようにしているものの、充電の上限は80%くらいと覚えておくとよいと思う。バッテリをもたせる方法の一つとして、いつまでも接続しておかず、80%程度になったら電源を抜いて使ってみてもよいだろう。