KDDIは1月12日、2023年春をめどに、タイの首都バンコクにデータセンター「TELEHOUSE Bangkok」を新設すると発表した。同データセンターはデータセンター専用のインターコネクションデータセンター(以下、インターコネクションDC)であり、延床面積は9,000平方メートル。運用は、2021年11月に設立したTELEHOUSE Thailandが行う。
執行役員 ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 副本部長の丸田徹氏は、「インターコネクションDCにはエコシステムが構築されている。接続する通信事業者が増えると、そこに接続するコンテンツプロバイダーが増える。また、クラウドプロバイダーと通信事業者がつながると、またコンテンツプロバイダーも集まってくる。こうしたエコシステムによって、コンテンツとプロバイダーとエンドユーザーが快適につながる場が出来上がっていく」と、インターコネクションDCを中心とした同社のデータセンター事業の戦略を説明した。
KDDIのロンドンのインターコネクションDCは接続性において世界トップであり、また、パリのインターコネクションDCの接続性はフランストップだという。丸田氏は「われわれはインターコネクションDCの展開によって、インターネットの発展に尽力してきた。エコシステムによって、ロンドンは今も顧客が増えている。今後、アジアの市場が伸びることをにらみ、インターコネクションDCを東南アジアにも展開していく。その一歩をタイで踏み出す」と、今回、タイに「TELEHOUSE Bangkok」を設立する背景を語った。
続いて、ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 コネクティビティ・DC企画部長の柳澤健之氏が、「TELEHOUSE Bangkok」の詳細について説明した。
柳澤氏は、「タイはモバイルインターネット環境が進んでおり、トラフィックとデータセンターは急成長しているが、2つ課題がある」と述べ、タイのインターネット環境には「エンドユーザーにとってレスポンスが遅い」「コンテンツ事業者はシンガポールからタイまで国際回線を用意しなければいけないので回線コストがかかる」という課題があることを指摘した。
こうした課題を解決するため、KDDIはインターコネクションDCの新設により、タイでローカルの環境でコンテンツを配信できるようにするという。
また、バンコク内にはキャリア系データセンターが散在しているが、柳澤氏は「キャリア系データセンターにはキャリアごとに開通回線コストと手間がかかるという課題があるため、構内でダイレクト接続でき、キャリアが集約されたインターコネクションDCが最適解になると考えている」と述べた。
柳澤氏は「TELEHOUSE Bangkok」の強みとして、「立地」と「4ルートでの通信回線の引き込み」を挙げた。立地としては、バンコク中心部であり、水害リスクが低いという好条件となっている。
また、アジアでインターネット環境の接続が不安定な状況を経験したことがある人もいるだろうが、「TELEHOUSE Bangkok」では通信線に4つの異なるキャリアを用いることで、冗長性を向上させている。